『賢い医師生活』最終回直前のS2第11話 5人の医師の専門分野に彼らの問題と対処法が浮上

『賢い医師生活』最終回直前、動のエピソード

 シーズン・フィナーレまで残すところ2話となった『賢い医師生活』第11話は、前シーズンから積み重ねてきたものを大きな触媒によって変化させる“動”のエピソード。S1から想いを募らせていた2組のカップルが関係を前進させ、大団円に向かっているように思えるが……。

 バンド演奏曲の「Running in the Sky(空を駆ける)」は、韓国の人気シンガーソングライター、イ・ジョクが2003年に発表した楽曲。

The band warms our hearts with a song of hope and love | Hospital Playlist Season 2 Ep 11 【日本語字幕 CC】

 イ・ジョクは、『恋のスケッチ~応答せよ1988~』の使用楽曲の中でも印象に残る曲「Don’t Worry(心配しないで、君)」をカバーしていたアーティストで、ドラマ内で彼の楽曲をバンドで演奏するという粋な恩返しになっている。

 大病院に勤める優秀な医師たちと患者や家族との交流を丁寧に描いたS1に対し、S2では問診や施術の経過がエピソードをまたいで描かれているため、医師たちの業務よりもプライベートの問題がクローズアップされがちな印象を受ける。第3話のレビューで、5人を表す“5無”は他者の目からみた断片的情報に基づくもので、15話分の時間を共にした視聴者はそれらがミスリードだと見抜いていると書いた(参考:『賢い医師生活』シーズン2第3話、転換点となる『刑務所のルールブック』からのカメオ出演)。

 それから7話分の時間が経過し、担当患者への対応から5人を悩ませる問題が浮かび上がり、数ある医療専科から彼らの専門が設定された理由が推察できる。

20210915-hospitalplaylist-03
20210915-hospitalplaylist-04
20210915-hospitalplaylist-05
20210915-hospitalplaylist-06
20210915-hospitalplaylist-07
20210915-hospitalplaylist-08
20210915-hospitalplaylist-09
20210915-hospitalplaylist-10
20210915-hospitalplaylist-11
20210915-hospitalplaylist-12
previous arrow
next arrow
20210915-hospitalplaylist-03
20210915-hospitalplaylist-04
20210915-hospitalplaylist-05
20210915-hospitalplaylist-06
20210915-hospitalplaylist-07
20210915-hospitalplaylist-08
20210915-hospitalplaylist-09
20210915-hospitalplaylist-10
20210915-hospitalplaylist-11
20210915-hospitalplaylist-12
previous arrow
next arrow

 このエピソードでの例を挙げると、脳神経外科医ソンファ(チョン・ミド)の患者たちの施術に、彼女をずっと蝕んでいた問題と対処法が暗喩される。第6話でバイク事故により硬膜下出血を起こした女性は、手術後もリハビリを続けている。患者の脳は状況を把握しているが、言葉で発することができない。リハビリ中の患者のフラストレーションは、ここ数話のソンファが怒りっぽいとの指摘と重なり、言葉を絞り出すように歪める表情は、青春時代の傷のリハビリを見るようだ。もう一人、髄膜腫の疑いのある患者は、検査で眼動脈瘤が発見される。腫瘍除去手術は眼動脈を傷つけ失明の恐れがあるため、患者は手術を拒む。ソンファやチーフレジデントのソクミンが患者と家族に説明する病状と治療方法を、動脈瘤を恋愛、眼動脈を友情と置き換えて聞くと、S2でずっとソンファを躊躇させている問題がわかってくる。動脈瘤を放置するのは頭に時限爆弾を抱えている状態で、他の迂回路が発達していれば、もしも出血し眼動脈を塞いだとしても視力を失わずに済む。

 同じように、ソッキョン(キム・デミョン)が対応する心拍動異常を起こした妊婦の分娩では、胎児の首にへその緒が三重に巻きついて産まれる。ソッキョンは妊婦に「がんばって5回力んでみましょう」と励ます。ソッキョンの専門が産婦人科に設定されている理由がこのシーンから想像できる。産婦人科医は、母体と胎児を切り離し、個別の生命体として誕生させる職種。強烈な個性を持つ母、亡くなった妹、元妻の三重の首枷とともに生きていたソッキョンは、ミナの4度の告白によって独立した人間として立つことができるようになり、最後の1回は自分で言葉にする。

 この視点で見ると、小児科医のジョンウォン(ユ・ヨンソク)は、家庭内暴力を働く父親によって失われてしまったギョウルの子供時代を守るように、抜糸を嫌がる子供の自主性を尊重し、親ではなく子供自身の口から症状を説明させるよう促す。ジョンウォンが病気を治療する子供たちにかける言葉は、ギョウルのように心や体を傷つけられた人々へのメッセージとなっている。生体移植である肝移植の名医イクジュン(チョ・ジョンソク)は、彼の周りの人々の“肝”を移植するように仲を取り持つ。第5話で肝移植手術を施した親子は、第8話で心内膜炎を発症し心臓外科医のジュンワン(チョン・ギョンホ)の患者として病院に戻ってくる。まさに、イクジュンの機転で再会したジュンワンとイクスンの今後が、ジュンワンの手に託されているように。そして、第1話から継続して登場していた心臓疾患を持つ子供たちの補助人工心臓には限度があると、心臓移植を勧めている。これは、遠距離恋愛中のジュンワンとイクスンが文明の機器・携帯電話でいくらコミュニケーションを重ねても、補助でしかなかったことを表しているようだ。S1第3話で、ジュンワンが胸部外科を目指した理由が描かれていたが、心臓外科医の手には、止まった心臓を再び動かす力が宿っている。



インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「海外ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる