岸優太、『ナイト・ドクター』は新たな代表作に 約6年ぶりの連ドラ出演で遂げた成長

岸優太が『ナイト・ドクター』で遂げた成長

「自分は受け入れたいです。どんな患者も受け入れるのが、この病院の……僕たちの理念だと思うので」

 『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)第10話、深澤(岸優太)の言葉を聞いた時、胸に込み上げてくるものがあった。救急医になったばかりの彼は、「未来」に起こるかもしれない失敗を恐れ、「今」いる患者に向き合うことができなかったから。

 まもなく最終回を迎える本作で、「陰の主人公」とも言える活躍を見せたのが、岸優太演じる深澤だ。「いつでも、どんな患者でも絶対に受け入れる」という強いガッツを持つ主人公・朝岡(波瑠)に対して、深澤は石橋を叩きまくって壊してしまう……というほど臆病な性格だった。

 朝岡に対して抱く感情が、「尊敬」だとしたら、深澤に抱くのは「共感」。処置する人が自分しかいない現場で、重病者が運ばれてくるとなったら、誰だって戸惑ってしまうだろう。けれど、医師なら誰もが朝岡のように、「救いたい」という一心で、患者を受け入れているものだと思っていた。そこで、深澤は「リアル」を伝える役割を担っていたのだ。医師は、何が起きても傷ついたり焦ったりしないスーパーマンではない。時に臆病になりながらも平常心を保ち、懸命に目の前の命と向き合っているのだ。深澤の葛藤を通してそれを感じた時、医療従事者に対するリスペクトの念がさらに強くなった。

 その深澤を演じているのが、King & Princeのリーダー・岸である。4月に『ナイト・ドクター』への出演が発表されると、「岸くん月9」「岸くんドラマ」と彼に関する話題がSNSのトレンドを席巻した。それもそのはず。ジャニーズJr.時代から、「演技派」と言われていたにもかかわらず、2015年以降連続ドラマ出演がなかったのだ。それにしても、デビュー後初のドラマ出演が、「月9」とは。まさに、気が熟すのを待っていたかのようである。

 彼の強みは、「岸くんの代表作は?」と聞かれた時に、さまざまな作品が思い浮かぶこと。それは、岸がどの作品にも同じ気持ちで、真摯に向き合っているからだと思う。ジャニーズJr.時代、鈴木梨央とともに主演を務めた『お兄ちゃん、ガチャ』(日本テレビ)で演じたドSお兄ちゃん・トイも印象深いし、『近キョリ恋愛 〜Season Zero〜』(日本テレビ)で見せた儚い演技も魅力的だった。そして、いま『ナイト・ドクター』という新たな代表作が加わろうとしている。

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