関智一、松岡禎丞、梶裕貴ら、『ボイス』で俳優としても輝いたレジェンド声優たち
毎話息を呑む展開で、視聴者をハラハラとさせている土曜ドラマ『ボイスII 110緊急指令室』(日本テレビ系)。
2019年7月期に放送された『ボイス 110緊急指令室』の2年ぶりの続編となる本作では、唐沢寿明演じる連続殺人犯に愛する妻を殺された刑事・樋口彰吾と、真木よう子演じる緊急指令室(ECU)の室長でボイスプロファイラーの橘ひかりが難事件に立ち向かう。
『ボイス』というタイトル通り、事件解決の鍵となるのは“声”と“音”。絶対聴感能力の持ち主である橘が常人では聞き取れない微かな音を拾い、被害者の場所を特定する場面が大きな見どころとなっている。また合わせて、私たちを楽しませてくれるのが“声”のプロである声優たちの出演シーンだ。毎回ありとあらゆる方法で、誰もがその声を耳にしたことがあるレジェンドが登場している。
本稿では第1話~第6話で放送された声優陣の出演シーンを振り返ってみたい。
樋口の息子・大樹(鳥越壮真)と、橘の恋人であるECU二代目班長・重藤(増田昇太)が何者かにさらわれるという衝撃の展開で幕を開けた第1話。樋口と相棒の石川(増田貴久)は電話から聞こえてきた大型犬の鳴き声を頼りに、重藤が監禁されている場所を捜索するもなかなか特定できずにいた。
そんな2人に重要な手がかりを教えたのが、近所に住む農家の男に扮した関智一だ。関は『ドラえもん』のスネ夫役をはじめ、近年もアニメ『鬼滅の刃』で“柱”の一人である不死川実弥、『呪術廻戦』ではパンダ先輩を演じた人気声優。出演シーンはわずかだったが、幅広い役柄をこなしてきた関だけに、あまりに違和感のない馴染みぶりに注目が集まった。
第2話、そして第3話にもわずかに出演したのは、実写映画も絶賛公開中となっている『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』のヒロイン・四宮かぐや役でアニメ初出演となった古賀葵。彼女は、児童性犯罪歴がある塚田(中山求一郎)を支援する団体の職員・村田智子を演じた。過去塚田の被害に遭った女子高生の父親が突然包丁を持って現れた際、思わず挙げた麗しくも鬼気迫る叫び声は視聴者にさらなるスリルを与えただろう。
そして想像を超える意外な形で第3話に登場したのが、『ソードアート・オンライン』のキリト役や『鬼滅の刃』嘴平伊之助役、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』ベル・クラネル役など、数多くの代表作を持つ松岡禎丞だ。彼が演じたのは、まさかの“変身ベルト”。犯人に誘拐された男の子が持っていたおもちゃから聞こえる、「悪者は成敗致す! 変身! ビートルナイト!」というセリフに声をあてた。声のみの出演となったが、そのおかげで樋口と石川は男の子の居場所を突き止めることができる。まさに“救世主”とも思える、安心感のある力強い声を響かせてくれた。
ECU室員の知里(藤間爽子)が元交際相手・前園(大野瑞生)に連れ去られる事件が発生した第4話には、『呪術廻戦』の主人公・虎杖悠仁役で話題沸騰中の声優・榎木淳弥が登場。交際相手にデートDVを繰り返していた前園は被害者から恨まれ、腹部を刺されて重傷を負う。榎木が演じたのは、そんな前園が入院している病室を警備していた警官。前園からDVを受けて自殺した娘の母親に騙され、うっかり病室に入れてしまう役どころだ。短い時間の中でも、ちょっと頼りなさげな雰囲気を漂わせ「新人の警官なのかな?」と想像させる見事な演技力を披露した。
声優のみならず、ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS系)や今年6月に放送された『世にも奇妙な物語’21夏の特別編』(フジテレビ系)などにも俳優として出演し、知名度をさらに増している梶裕貴は第5話に出演。樋口を井戸で閉じ込め、その様子をネットに配信する犯人という超重要な役割を担った。その正体はかつて樋口が逮捕した、秋葉敬三の息子・雅也。敬三が出所後に無差別殺人を起こし、地獄の日々を送った雅也は父を生かした樋口を恨んでいたのだ。やつれ切ったその佇まいだけでも説得力があったが、何よりも心打たれたのは「あなたを恨むのは理不尽か?」と樋口に訴えかける場面。本人も「かなり心を消耗しながらお芝居しました」と語るように、その言葉には見逃されてしまう“加害者家族”の悲痛な思いが込められいた。