『かぐや様』前作からの変化とは? 平野紫耀と橋本環奈が体現する“告白すること”の大切さ

『かぐや様 ファイナル』の深部から学ぶもの

 プライドが高すぎるがゆえに本心を伝えられない者たちの恋の駆け引きに、“テーマ”などという高尚なものがあるのだろうか? といった声が聞こえてきそうだが……ある。前作が公開された2年前には感じられなかった、いまだからこそ感じずにはいられない切実なテーマが、本作にはあると思う。いや、前作にテーマがなかったわけではもちろんない。描かれていることは一貫している。ただ、テーマの“強度が増した(と感じる)”とはいえるのではないかと思う。

 高すぎるプライドが邪魔をして想いを伝えられない者たちーー彼らの体現するものは、ひるがえって「告白する(伝える)」ことの大切さを訴えているのだと思う。「好きだ」と言う、「悪かった」と素直に謝る、「(嫌なことを)やめてほしい」と訴える、「申し訳ありませんでした」と不正を告白する、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える。ここで大切なのは、それが本心なのかどうか。本心であればあるほど、これらの言葉を口にするのは難しい。過剰な自意識が邪魔をする。しかし、臆病な自尊心と尊大な羞恥心に囚われた、心理戦に徹するメンタリストではなく、とにかく誠実な一人の人間でありたいものである。

 本作はネタが満載のお祭り騒ぎを繰り広げる映画だが、表向きのバカバカしさだけでなく、私たちの生きる社会とも重なる核の部分にも目を向けたい作品だ。正直、他人の恋愛話ほど面白おかしく、また同時に面倒くさいものはない。しかしその深部には、何か学ぶべきものがあるのかもしれないと思うのだ。口先だけの言葉はもう要らない。

※高嶋政宏の「高」は正確には「はしごだか」

■公開情報
『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル』 
全国東宝系にて公開中
出演:平野紫耀(King & Prince)、橋本環奈、佐野勇斗、浅川梨奈、影山優佳(日向坂46)、佐藤二朗ほか
原作:赤坂アカ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(集英社・週刊ヤングジャンプ連載中)
監督:河合勇人
脚本:徳永友一
主題歌:King & Prince「恋降る月夜に君想ふ」(Johnnys’ Universe)
配給:東宝
(c)2021 映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 (c)赤坂アカ/集英社

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