『ナイト・ドクター』北村匠海のラストのセリフが示す理想 波瑠と岸優太のダブルデートも

『ナイト・ドクター』北村匠海が示した理想

 「同じ場所で同じように働いているからといって、全員が同じ方向を向いているとは限らない」。前回のエピソードでナイトドクターの現実と理想を語った本郷(沢村一樹)が呟いたこのセリフ。チームの団結という面ではネガティブに捉えることができる一方、決してそうではないポジティブな意味もあるのだということが、8月23日放送の『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)第8話は提示する。今の仕事=ナイトドクターを続けながら、それぞれの夢を叶える。それはこのドラマの主題である「働き方改革」の理想にも通じる部分があるといえよう。

 後輩の里中(古舘佑太郎)から脳神経外科に誘われ、心が揺れる成瀬(田中圭)。そんななか、運び込まれてきたくも膜下出血の患者の手術の執刀にあたるが、普通の脳動脈瘤でないことに気が付き手術を断念。しかもその患者を里中が引き継ぐことでさらにショックを受けてしまう。一方、心美(原菜乃華)の提案でダブルデートに繰り出した美月(波瑠)と深澤(岸優太)。そこで楽しそうにしている心美を見ながら、深澤は美月に、心美の病気を治すための研究をするためにはナイトドクターを辞めなきゃいけないと悩んでいることを明かすのだった。

 成瀬の場合は「脳外科に行きたい」という気持ちと「ナイトドクターの仲間たちへの想い」や「本郷への恩」。また深澤の場合は医者としても人間としても成長の機会を得られる「ナイトドクターとしての経験」と「長年目指してきた医者としての最大目標」。2人の登場人物が、“どちらかひとつ”という天秤に悩む様子が描かれた今回のエピソード。結論から言えばラストの屋上シーンで桜庭(北村匠海)が言う、「やりたいことをひとつに絞る必要はない」という言葉に尽きる。

 劇中には何度か、“スペシャリスト”という言葉が登場する。特定の分野における専門性に長けた、いわゆるプロフェッショナルであるゆえ、一見するとそこを目指すためにはひとつのことを徹底的に極めていなければならないという呪縛があるように思えてしまう。マルチな医者である救急医は、専門性を持たない“なんでも屋”という話も然り、終盤で成瀬が手術を中断する患者が料理の道を極めた“スペシャリスト”であることも然り、そこには“どちらかひとつ”への呪縛と、それを成し遂げた存在への畏怖の念が表されている。

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