「懐かしいのにどこか新しい」 甲斐みのり×網中いづる、『スザンヌ、16歳』の魅力を語る

『スザンヌ、16歳』イベントレポ

 映画『スザンヌ、16歳』のオンラインイベントが下北沢の書店「B&B」にて8月17日に開催され、文筆家の甲斐みのり、イラストレーターの網中いづるが登壇した。

左上から時計回りに、gnome(ノーム)村田悦子、網中いづる、甲斐みのり

 本作は、2020年の第73回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクションに認定された人間ドラマ。脚本、監督、主演を務めた20歳の新鋭スザンヌ・ランドンが、誰にも打ち明けられず、自身の内側に抱えていた思春期ならではの憂鬱や恋愛への憧れを脚本に昇華させ、16歳の少女が年の離れた大人の男性に恋をする、ひと夏の物語を完成させた。

 甲斐と網中は、「いづるさん」「みのりちゃん」と呼び合うほどの親しい仲。2人の仲の良さをそのままに、『スザンヌ、16歳』についてのバラエティに富んだークが繰り広げられた。

 シンプルな物語の中に宝石箱のようにきらめくシーンが詰め込まれた本作。甲斐は予告編を観ただけで、「一瞬で一目惚れ」だったそう。その思いをそのままに、本編も大いに堪能したという。

「スザンヌは本作を『言葉で説明したくなかった。私の世代はとにかく話し過ぎている』とインタビューで語っていたのですが、この考え方も独特で面白いし、もう“好き”だなって(笑)。自分が作品の中に入り込んで共感できるポイントがたくさんありました。尺も90分もなく、物語も非常にシンプル。それなのにキラキラしたものがたくさん詰まっている。何度でも見返したい作品です。自分が10代の頃にこの作品を観ていたら、憧れのスザンヌのようになりたい!と思って、周りのみんなから“やぼったい”と言われてもこのファッションを真似しちゃうと思います」(甲斐)

 網中もまた、本作の予告編を観たときからその雰囲気に惹かれていたという。

「予告は先に観ていて可愛いなとと思っていたのですが、若い頃に観た作品の雰囲気だったり、懐かしさをすごく感じたんです。そう思うと、意外に最近そんな作品なかったなと。懐かしいのに、どこか新鮮さもあってキュンとする描写がたくさんありました」(網中)

 網中は本作の前売り券特典であるオリジナルステッカーのイラストを担当。「映画の中のワンシーンを自由に描いてください」というオファーだったそうで、「何が描きたいかなと思って観たら描きたいシーンがとても多かったんです。結局、たくさんのイラストを描かせていただきました」とコメント。

 網中のイラストについて甲斐は、「映画を観ていてもスザンヌの赤いヘアゴムやざくろソーダなど、視覚的に印象に残る色や風景が多い作品でした。その印象をそのまま網中さんが切り取っていたので、流石だなあと改めて感じました」と絶賛。

 また、イラストの中にはスザンヌと彼女が恋い焦がれるラファエルとのダンスシーンも。このシーンを描いた理由としては、「スザンヌの手足が非常に長くてきれいで、ダンスシーンも含めて、彼女の軽やかさを画にしたいなと思って。一枚のイラストにするので、どうすれば動きが出せるかなと思って、今回のデザインとなりました。ドローイングっぽいのと、トリコロールっぽい赤を使おうとバランスを考えました」と明かした。

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