『ボイスII』第4話が迎えた衝撃の結末 重藤兄弟の知られざる真実も明らかに
「#白塗り野郎は誰だ」ーー『ボイスII 110緊急指令室』(日本テレビ系)第4話放送後、同番組公式Twitterにアップされた1枚のモノクロ写真。「顔」が映っているにも関わらず、コメント欄にはさまざまな人物の名前が飛び交う。本編での出演シーンも含め、白塗り野郎の正体はいつも巧みに“分からない”のだ。
前薗殺害未遂の犯人は小松(藤間爽子)ではなく、前薗のかつての交際相手である奥井(堀未央奈)、藤井(二宮郁)であると判明した。確保され、取り調べを受ける奥井の瞳には生気がなく、それでいて「復讐」をやり遂げるためのしたたかさと、確かな殺意がある。虚ろで危うげで不安定、そこにあるのはもはや「器」、抜け殻に宿った復讐心のみで動く器ーー奥井の姿はそんな風に映った。「デートDV」は人をここまでにしてしまうのかと、その恐ろしさ、被害者の痛々しさを、堀はリアルに演じていた。
奥井らの共犯者・上野(街田しおん)の犯行により、またも命の危機に陥った前薗。苦しむその姿を見つめる小松の表情が一瞬、フォーカスされた。きっと彼女のなかにも“ある感情”がよぎったに違いない。結果、前薗は一命を取り留め、藤井は死亡した。「なんであんな奴が助かって……」。石川(増田貴久)が、観る者すべての思いを代弁した。
前薗にとどめをさすことができなかったと知り、屋上からの飛び降りをはかる上野。彼女を引き留めたい思いから、小松が必死に明かした心のうちが赤裸々だった。恥ずかしさやみじめさーーまさに、デートDVに苦しみながらも声をあげることができない人々の心だ。前回扱った児童への強制わいせつ罪も同様、本作は展開こそ大胆だが、現代的かつデリケートな犯罪のリアリティを繊細に描いているように思う。
「死ぬ覚悟があるなら、生きて戦うんだ」。上野にかけた樋口(唐沢寿明)の言葉が印象的だった。上野の娘は、交際相手である前薗からの暴力を機に心身に傷を負い、自ら死を選んだ。死ぬことを「覚悟」と表現した樋口の言葉には、上野、そして彼女の娘に対する配慮と優しさがあった。