『おかえりモネ』百音に決断の時が近づく ためらう姿から見えてくるサヤカへの思い

『おかえりモネ』百音に決断の時が近づく

 しかし心配しなくても、サヤカはちゃんとわかっていて、菅波(坂口健太郎)に百音のことを尋ねに行くのだった。「何もしていない方が問題ですよ。あんだけ仲良くて」と百音との関係にジャブを入れると、「合格したんですよね?」と単刀直入に聞く。一方で菅波は「守秘義務がありますので」と答えるが、明らかに目が泳いでいる。それを見て、満足そうな表情を浮かべるサヤカだった。

 一緒に暮らす間に、百音はサヤカのことが好きになったのだと思う。百音は「この土地を守んのが自分の役目」というサヤカの思いを知っている。一方で、「ものすごく心惹かれるもの」という気象の世界に出会ってしまった。自分がやりたい道に進むことは、大事にしてくれた人を裏切るような気がしてしまうのだ。

 サヤカは、自分の分身のようなヒバについて「最悪、能舞台の柱にしなくたっていいんです。50年後、100年後、何かあった時に誰かが使えばいい」と語る。自宅の木蔵(きっつ)について説明する翔洋が、木材の保管を「息子たちに押し付けられない」と言うとき、そこに若い人を縛る気持ちはない。サヤカも同じだろう。誰かの役に立つことは、他の誰かを犠牲にすることではない。そうなると、あとは百音の気持ち次第だ。決断の時が近づいている。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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