西島秀俊×内野聖陽、清原果耶×蒔田彩珠……『おかえりモネ』俳優陣の共演歴を追う

『おかえりモネ』俳優陣の共演歴を追う

 宮城県気仙沼市と登米市を舞台にした『おかえりモネ』(NHK総合)では、色彩豊かな映像美や主人公の永浦百音を演じる清原果耶のみずみずしい感性とともに、西島秀俊や坂口健太郎、浅野忠信たち出演キャストの再共演が話題になっている。

 筆頭に挙げられるのは西島と内野だ。2人は『きのう何食べた?』(テレビ東京系)でおなじみのコンビ。「食」を通してゲイのカップルの日常を描いた同作は、西島と内野のダブル主演で、弁護士の筧史朗(西島秀俊)と美容師の矢吹賢二(内野聖陽)のやり取りが大きな反響を呼んだ。『おかえりモネ』で西島は気象予報士の朝岡覚、内野は永浦家の父親・耕治を演じている。『きのう何食べた?』とは、脚本が安達奈緒子という共通点もあり、作風をよく知る西島と内野は本作に欠かせない存在。現時点で劇中ではテレビの画面越しの“共演”にとどまっているが、2人の“再会”を待ち望むファンも多いだろう。なお、劇場版『きのう何食べた?』が11月3日公開予定でこちらも見逃せない。

 西島と内野は朝ドラをきっかけに飛躍した「朝ドラ俳優」だが、坂口健太郎もその1人。『とと姉ちゃん』で主人公の常子(高畑充希)とすれ違う帝大生・星野を演じて注目された。『おかえりモネ』では意外なところに注目が集まっている。坂口演じる菅波光太朗は、百音が働く森林組合に併設された診療所の医師。東京からやって来ては、百音に気象予報士の勉強を教える。この診療所のもう1人の医師が菅波の先輩にあたる中村信弘(平山祐介)。平山と坂口は『コウノドリ』(TBS系)以来の共演となる。『コウノドリ』で、坂口は新生児科の若手医師・白川領、平山は救命救急医の加瀬宏を演じた。所属が違っても、それぞれの命と向き合う関係性は『おかえりモネ』にも引き継がれている。訪問診療を推進したい中村と、あくまで命を救うことにこだわる菅波。交代勤務で東京と登米を往復する2人が、医療に対する信念をぶつけながら互いの距離を縮めていく姿に『コウノドリ』の残像が重なる。

 主人公の「妹役」も朝ドラヒロインの定番コースである。『とと姉ちゃん』から『おちょやん』の主役に抜てきされた杉咲花をはじめ、本作の清原も『あさが来た』、『なつぞら』を経てヒロインの座をつかんだ。『おかえりモネ』で主人公の妹、永浦家の二女・未知を演じるのが蒔田彩珠である。蒔田は『とと姉ちゃん』で常子の姪たまきの13歳の時を演じており、朝ドラ出演は2度目。そして清原と蒔田には忘れることのできない共演シーンがあった。

 名作の誉れ高い2018年作『透明なゆりかご』(NHK総合)。主人公の看護助手アオイ(清原果耶)は、第2話で産婦人科の前に置き去りにされた赤ちゃんを見つける。医院で保護し、世話をしていく中でアオイの中の母性が目覚めていく。そこに現れた17歳の母親・千絵(蒔田彩珠)。娘を捨てた千絵にアオイは怒りを覚える。しかし、千絵にはそうする理由があった……。カーテン1枚を挟んだアオイと千絵の邂逅は、直接言葉を交わさなくても、視線と表情から両者の感情のせめぎ合いが伝わってくるような圧巻のシーンだった。『透明なゆりかご』の脚本も安達奈緒子で、同作の高い評価が『おかえりモネ』での起用につながっていることは間違いない。震災を別の形で経験した姉妹は、どのようにそれぞれの道を歩んでいくのだろうか。そこから生まれるドラマに期待せずにいられない。

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