本田翼、町田啓太ら4人の男女に共感 『嘘から始まる恋』は今ならではのラブストーリー

『嘘から始まる恋』本田翼×町田啓太らに共感

「幸せにしてもらうんじゃなくて一緒に幸せになりたい!」

 “都会の女の魅力に抗えなかった”と元彼から婚約破棄をされた莉子(本田翼)が、“嘘偽りのない愛”を求め青森から大都会・東京にやってくるところから始まるスペシャルドラマ『嘘から始まる恋』(日本テレビ系)が爽やかな余韻を残していった。

 カリスマショップ店員の従姉妹、友里(山本舞香)に出会いのために連れてきてもらった銀座のナンパスポットで、それぞれが嘘をはらんだ出会いを果たす。莉子の津軽弁に異様な嫌悪感を示す大手商社勤務・淳之介(町田啓太)は、東京生まれを自称するも実際には秋田県出身だった。「ハイスペックな俺に見合うハイスペック女子がいない」と嘆く淳之介に莉子は「スペックスペック言い過ぎない方がいいですよ。コンプレックスがあるように見えちゃいますから」と面と向かって伝えるが、この言葉がどうやら淳之介の“こじらせ”の核心を突いたようだ。

 本作はこのバカ正直な2人のほぼ“駆け引きゼロ”の恋愛を楽しむ作品だ。“駆け引き”という高等テクではなく、売り言葉に買い言葉で正反対のことを言ってしまう2人の様子は、その後たまたま再会を果たした“オンライン人狼ゲーム”での通りだ。きっと淳之介からすれば、自身のスペックに群がり同じような褒め言葉を並べ立てる女性には魅力を感じないのだろう。しかも、淳之介自身もちょうど大手商社勤務という肩書をかなぐり捨てて、シンガポールで起業するための準備をしているところだ。そのビジネスだってどうなるかわからない、自分が挑戦したいことに集中したい時期に“他力本願”なパートナーは足を引っ張るだけの存在になりかねない。

 淳之介の「自分の幸せを他人任せにして、ただ待ってるだけで幸せになんてなれるわけないだろ」を回収する言葉を、友里が言う。「今までハイスペックな男に上の世界に連れてってもらうことが近道だと思ってた。だから人の気を引くために嘘ばっかりついてた」と。そしてこの言葉は淳之介自身にもブーメランのように返ってくる。彼自身も「自分に見合う相手がいない」と切り捨てるばかりで、自分から相手を知ろうと努力したり歩み寄ることを今まで放棄してきたのではないだろうか。

 本作はそこら中に転がっている、“何者かになりたい”男女の悲哀の物語でもあった。“そのままを愛してほしい”“このままの自分を認めてほしい”のは男女ともに誰しもが持っている根本的な願望であり、それと同時に“何者かになりたい”“特別な存在になりたい”“皆と一緒では嫌だ”と思ってしまうのもまたどうしようもない人間の性だ。

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