成田凌×若葉竜也、特別な一作となった『くれなずめ』への思い 「“普通”にいることを大事に」

成田凌×若葉竜也、特別な一作となった『くれなずめ』への思い 「“普通”にいることを大事に」

 松居大悟監督作『くれなずめ』が絶賛公開中だ。友人の結婚披露宴で余興を行うべく久々に再会した6人組。歳を取り学生気分ではいられなくなっても、再会すれば一瞬であの頃の気持ちに。しかし、そのうちの1人・吉尾は亡くなっていたーー。

 大いに笑える一方、ポロッとこぼれ落ちてしまう涙と哀愁が詰まった本作。メインキャストには、成田凌、高良健吾、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹が揃い、青春の煌めきを体現した。

 先日放送を終えたNHK連続テレビ小説『おちょやん』をはじめ、共演作が多い成田と若葉の2人に、本作に込められた思い、撮影の裏側など、話を聞いた。

芝居の感覚が合う人が集まった現場

ーーキャスト・スタッフ全員の気迫が伝わってくるような一作でした。完成した作品を観たとき、どんな思いを抱きましたか?

成田凌(以下、成田):「よし!」ですね。面白い作品になってよかったなと安心しました。現場ですごく楽しんでしまっていたので、「映像として大丈夫かな?」という不安もあったんです。やっぱり、現場が楽しければ楽しいほど危険なこともいっぱいあるので。だから、間違いない完成品に仕上げていただいて、改めて松居(大悟)さんの凄さを感じました。完成品を観た後は素晴らし過ぎて胸がいっぱいで、キャスト・スタッフのみんなと逆に話したくなかったんです。余韻に浸っていたかったです。結局、その後にみんなで結構な時間ずっと話したんですけど。

若葉竜也(以下、若葉):試写の後にあんなに人が残って話すのは珍しいよね。

成田:うん。そういう作品になったんだなと。それもすごくうれしかったですね。

若葉:僕も予想していたよりも遥かに面白くてびっくりしました。松居監督の最高傑作だと個人的には思っています。今までの松居監督作品の中で一番変なものになっているし、一番ブラッシュアップされたものになっているんじゃないかと。

ーー中盤以降に成田さん演じる吉尾のかなり突飛なシーンがあります。劇中の時制もあちこちに飛ぶこともあり、脚本で読んだときの印象と映像として観たときの印象が大きく変わるのかなと感じました。

成田:最初に脚本を読んだときに受けた印象と、映像として完成品を観たときはわりと同じテンションかな。脚本を2回目、3回目と繰り返し読んでいるうちに、「どうなるんだろう?」という感じもあったのですが、“最初”と“最後”の気持ちは一緒で。それも不思議ですね。

若葉:最初に脚本を読んだときは、中盤のとある吉尾のシーンは全然想像できなくて。

成田:確かにあのシーンは全然想像つかなかった。

若葉:松居さんだから大丈夫だろうとは思っていたんですが、本番でも完成形はイメージできない中で撮影はしていたんです。

成田:あのシーンはみんなが一切“ふざける”ことをせずに、“一生懸命”やっていたのが効いているよね。誰かがちょっとでも冷静になってしまったら違ってたと思う。

若葉:そうだね。もうどうにでもなれ、と身を任せたところはあった。出来上がったものを観ると、ふざけているように見えるこのシーンもめちゃめちゃグッとくるんだよね。

ーー吉尾はすでに亡くなっていることもあり、明石(若葉竜也)、ソース(浜野謙太)、大成(藤原季節)、ネジ(日次立樹)、欽一(高良健吾)とそれぞれの記憶の中の吉尾が映し出されていきます。ひとりひとりの記憶だからこそ、吉尾の雰囲気がすべて違うのが印象的でした。

成田:すごくちゃんと観てくださって有り難うございます。それぞれのシーンで演じ分けよう、なんて強い意識はなくて、みんなが思う吉尾だからこそ、何をしてもいいんだという自由さがありました。僕の中での吉尾像があって、脚本としての言葉があって。それを守ればあとはどんなことをしてもいいなと。

若葉:そのせいもあってか(成田)凌が演じる吉尾が一番多面的で“人間”っぽく感じたね。

ーー松居監督の作品の特徴のひとつに「長回し」があります。本作も冒頭からまったくカットが割られず、皆さんの息遣いまでが伝わる生々しさが随所にありました。

成田:長回しはめっちゃ楽しいですね。初めは緊張もしますが、途中でそれもなくなって。役として生きてる実感が湧くんです。誰かのミスも面白くなってしまうというか、何回でもやりましょう!って気持ちになります。

若葉:最初の結婚式のシーンは特に何回もやったね。

成田:よっしゃーこれで終わり!と思ったところで飯豊まりえちゃんが自分の名前を間違えて(笑)。

一同:(笑)。

ーー長回しの間も皆さんの掛け合いが本当に絶妙で。アドリブのようにも感じたのですが、台本通り?

成田:台本通りどころではないですね。

若葉:かなり緻密に作られています。

成田:役者たちの動線から台詞の間も全部作り込んだ結果です。不思議とキャスト・スタッフ、芝居の感覚が合う人が集まっていたからこそできたんだと思います。

ーー劇中ではまったく同じシーンが2度繰り返されます。状況、台詞は同じなのに、キャラクターの感情だけが違う。吉尾を見送る若葉さんたちの顔が素晴らしかったです。

若葉:あのシーンは2回目も、台本には1回目の通りに書いてあるだけなんですよ。

成田:本当にコピペされているだけでした。

若葉:試されてる感じはありました。役者だけではなく、この映画全部が試されている感覚。

ーー1回目と2回目、吉尾を演じる成田さんの歩き方、後ろ姿もまったく違うものになっているのに驚きました。

成田:言葉では説明できないんですけど、“普通”にいることを大事にしていました。後ろ姿からの振り向いたときの表情は、受け止める側にとってめちゃめちゃ大事じゃないですか。だけど、何かしようというのも変なので、“何もしない”を大事にしていたような気がします。

若葉:僕もあの立ち姿が好きで。

成田:それは(藤原)季節も言ってくれてた。

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