成田凌×若葉竜也、特別な一作となった『くれなずめ』への思い　「“普通”にいることを大事に」

松居大悟監督と今泉力哉監督の共通点

ーー2人は先日放送を終えたNHKの連続テレビ小説『おちょやん』でも共演していました。『おちょやん』小暮役で若葉さんを知った人は、本作を観ても明石が若葉さんとは気づかなさそうです（笑）。

成田：『おちょやん』と『くれなずめ』では正反対のキャラクターだよね（笑）。

若葉：うん。でも、やりづらいということは特になくて。本質的に人間としてちゃんとザラザラした存在でありたいというか。上手なお芝居やきれいな台詞回しはどうでもいいという思いでやっていたとこもあります。

ーー明石は自らの燻っている状況に対して、感情を爆発させるシーンもありました。

若葉：そこにも演じる上での照れなどはまったくなくて。自分自身も、思い出すと恥ずかしいと思う発言もいっぱいしてきている。

ーー劇中で明石が話していたような「演技論」のような語り合いは普段からあるんですか？

成田：同世代の役者が集まったときも、芝居・作品についての話ってあんまりしないよね。

若葉：まぁ、基本的にはしない。

成田：『くれなずめ』のみんなとも「演技について語り合う」みたいなのは一回もなかったよね（笑）。

若葉：なかった。本当にくだらないことしか話してない（笑）。

成田：もちろん、撮影のときはちゃんと打ち合わせしてますよ。でも、顔を見ればわかるというか。カメラが止まったらすぐにくだらない話してたよね。微妙に年代がバラバラなのも良かったのかな。横並びじゃないからこそ、照れがないというか。

ーー松居監督はどんな存在でしたか？

成田：現場では一番役者に近い位置で寄り添ってくれる存在です。なのに、誰よりも冷静で俯瞰的に現場を見ているところもある。いろんな場所で“味方”でいてくれる人。あと誰よりも“嘘”がバレる人。

ーーそれは芝居に対しても？

成田：そうですね。駄目なときは駄目と言ってくれますし、助けてくれます。そういえば、この前、今泉（力哉）監督と松居監督が対談している記事を読んだんですよ。そしたら、松居監督が「成田が一番演出しづらい」という話をしていて（笑）。

若葉：（笑）。

成田：「何言っていいか分からない」と。「ごめんなさい！」ってなりました（笑）。

ーー成田さんも若葉さんも両監督の作品に出演されていますが、松居監督と今泉監督の共通点は？

成田：危機察知能力と言えばいいのかな。例えば、笑わせたいシーンでも中に入り込み過ぎずに冷静な視点があって、真剣に笑わせるというか。全っ然タイプは違うんですけど、“面白い”の感覚は似ている気がします。だから2人とも大好きな監督ですし、今後も一緒に仕事をしていきたいですね。だから今泉監督の『あの頃。』にも出たかったんですよ。

若葉：松居監督と今泉監督は、人間の複雑な部分、情けなさや不格好さを愛している点で共通している部分はあると思います。

成田：男の恥部を知っている。

若葉：松居さんに関しては、劇団「THE SHAMPOO HAT」の赤堀（雅秋）さんに系譜が近い気もします。みんな大好きな作家なので、本格的に話そうと思ったら一晩欲しいですね（笑）。

■公開情報
『くれなずめ』
全国順次公開中
監督・脚本：松居大悟
出演：成⽥凌、若葉⻯也、浜野謙太、藤原季節、⽬次⽴樹、飯豊まりえ、内⽥理央、⼩林喜⽇、都築拓紀（四千頭⾝）、城⽥優、前⽥敦⼦、滝藤賢⼀、近藤芳正、岩松了、⾼良健吾
主題歌：ウルフルズ「ゾウはネズミ色」（Getting Better / Victor Entertainment）
配給・宣伝：東京テアトル
制作プロダクション：UNITED PRODUCTIONS
(c)2020「くれなずめ」製作委員会
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