西島秀俊、『おかえりモネ』朝岡役で計り知れない魅力放つ 百音に影響を与える金言の数々も

西島秀俊、『おかえりモネ』で放つ魅力

 朝岡の魅力はこれにとどまらない。お目当てである石ノ森章太郎の原画展に到着し、顔ハメパネルで写真を撮ったり、スカーフを買ってその場でつけてしまったり、子供のようにはしゃぐその姿は先ほどの真面目で頼り甲斐のある姿から少し崩れていて、ギャップがかわいい。しかし、雨が能の定例会までに止むのか知りたいと聞かれるとすぐにカッコいいモードに切り替えて天気を調べ出す。このかわいいとカッコいいの行き来が忙しないのも、演じる西島秀俊の持つ計り知れない魅力のひとつだ。天気予報結果が見事的中し、無事、定例会が開催されることになるが、少しだけ「これ外したらまずいよね……」と弱気になっていた姿も、単なる生真面目な仕事人間ではなく人間味が溢れている朝岡の良さを表している。

 百音はこの一連の出来事に心震わせ、未来がわかる天気予報師という仕事に感銘を受ける。これも全て、「未来」という漠然としたものを論拠立てて説明した朝岡の説得力があってこその“魔法”なのである。震災のあったあの日、彼女はそこにいなかった。ずっとそのことに負い目を感じている彼女にとって将来、未来は曇って見えないものだった。

 そんな中、妹の未知(蒔田彩珠)は研究者になって科学的な見地から日本の水産業を発展させたいと言う。医師の菅波(坂口健太郎)は「人の命を救いたい」という理由から、街の人に日々ヒアリングをして病を事前に防ごうとする。2人とも、“未来”を予測しながら誰かの役に立とうとしている。自分にとっても、そんな何かが欲しいと悩んでいた百音にとって「未来がわかる天気予報」との出会いは、厚く覆われた雲の切れ間から差し込む一筋の光のようなものだ。空模様と同じように、ここ数話で一番晴れた表情を魅せる清原果耶が眩しい第4話だった。

■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆する。湖畔でキャンプがしたい。InstagramTwitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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