『おかえりモネ』第1話は清原果耶の笑顔で幕開け 嵐の海を渡って生まれた百音

『おかえりモネ』清原果耶の笑顔で幕開け

 清原果耶がヒロインを務めるNHKの連続テレビ小説『おかえりモネ』が第1週初日を迎えた。

 NHK「連続テレビ小説」第104作として放送がスタートした本作は、宮城・気仙沼市の離島・亀島に生まれ育った永浦百音(清原果耶)が、天気予報を通じて人々の役に立ちたいと気象予報士を目指す物語。彼女はのちに気象予報士として成長し、気象予報の知識と技術を活かして故郷のために奮闘する姿を脚本家・安達奈緒子がオリジナルストーリーで描く。

 第1回では、天気予報に感銘を受けることになるモネこと百音の「天気」との縁が感じられる回となった。

 物語冒頭、百音が生まれた日のことが描かれた。1995年(平成7年)9月、台風12号の影響で海が大時化となる中、島で産気づいた亜哉子(鈴木京香)のために船が出せないかと耕治(内野聖陽)は及川新次(浅野忠信)に頼み込む。テレビからは「波の高さは5メートルから8メートルの大時化となりますので厳重に警戒してください」と聞こえる。しかし荒れ狂う海を見た新次は「船出してやっから。救急車呼んどけ!」と耕治に伝えると、亜哉子を内陸へと送り届ける。百音は嵐の海を渡って生まれてきたのだ。

 2014年(平成26年)の5月。海の町で育った百音は山にいた。高校を卒業した百音は、内陸の登米市で森林組合の見習い職人として働き始めており、登米市の大山主・新田サヤカ(夏木マリ)の家に下宿している。

 自然豊かな土地で、変わりゆく天候に心惹かれていく百音の姿が印象的だ。虹色に輝く彩雲に見惚れる百音がふと耳を澄ますと、遠くから雷鳴が、テレビからは気象キャスター・朝岡(西島秀俊)の「今日は全国的に大気の状態が不安定になります」という声が聞こえてくる。

 洗濯物を外に干したばかりの百音は「今干したばっかなのにぃ!」と嘆いていたが、この何気ないシーンからも、百音がこれから移ろいゆく天気に魅了されていく伏線が感じられる。午後になって、晴れ渡っていたはずの空が曇り、雨が降り始めると、百音はそんな空の変化を眺めながら朝岡の気象予報を思い出していた。そんな第1回は、「見るといいことがある」と言われている彩雲を見やる百音の笑顔で幕を閉じる。

 百音が生まれた日、語り部である百音の祖母・雅代(竹下景子)はこう語っていた。

「昔も今も人は天候に命運を左右されながらそれでもなんとかかんとか生きてきました」

 制作統括の吉永証チーフプロデューサーは公式サイトのインタビューで、気象予報士をテーマとした理由に「あらゆる人に関わりがある仕事というのが大きな理由です」と答えている。そして作品全体におけるテーマは「自然とどう向き合うか」だという。現代は、地球温暖化や自然災害など、自然との向き合い方が注目されている時代である。気象予報士の仕事を通して自然との向き合い方を知ってもらいたい、そんな思いがこの物語には込められている。

 これから百音は天気予報の可能性と魅力を知り、気象予報士を目指していく。そして天候次第で大きく左右されるさまざまな人の人生に触れることになるだろう。嵐の中で生まれた百音と縁が深い「台風」も、今後物語の大きな鍵となる。ヒロインの成長と、この物語で描かれる人と自然との関わりを見るのが楽しみだ。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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