菅田将暉×仲野太賀×神木隆之介が並ぶ凄み 『コントが始まる』の擬似家族的なつながり

『コントが始まる』の擬似家族的なつながり

 家族や擬似家族のような強固な人間関係は生きる上での支えになるが、ときにどうしようもなくわかりあえなくなる瞬間が訪れることをこのドラマはつぶさに描いている。また、そうした脆さから脱するエスケープゾーンとして、周りにさまざまな人や場所が配置されていることに気づく。瞬太は春斗と潤平の説得から逃げたあと、つむぎを頼った。「誰も俺の気持ちをわかってくれない」と言って。そこでのつむぎの返答は、説得的なものではなく、冷静に瞬太の思いを汲み取る提案的なものだった。最終的に瞬太は病院へ行く。「許す時間がほしかった」と言いながら涙を流す彼の姿からは、話す機会を失った悔しさと久しぶりに会えた喜びが混じり合っているようだった。

 第4話には、2度反復されるあるシークエンスがあった。「マクベスの3人がある場所から車に乗って帰る」というシークエンスが。1度目は真壁先生の子が生まれる場面に立ち会った日。「生まれてくるときはあんなにも祝福されるんだなぁと思ったら、だんだん悔しくなってきちゃって」と病室で涙を流した理由を瞬太は話す。2度目は母親の葬儀の日。春斗と潤平が瞬太を労うなか「やろうよ、ネタ合わせ」と瞬太は言う。どちらの場面も、瞬太が喪失感など複雑な感情を抱きながらハンドルを握り、それを春斗と潤平が深いまなざしで心を慮りながらじっと見つめている。神木隆之介、菅田将暉、仲野太賀の顔が並ぶ凄みを改めて実感させられるシークエンスだ。

「だって俺にはもう、マクベスしかなくなっちゃったんだよ」

 擬似兄弟的な強固なつながりを持ってしまった彼ら3人は、これからどこへ向かっていくのか。彼らには、真剣に将来を想ってくれる人たちがいる。とは言っても、最終的に未来を選ぶのは3人それぞれに他ならない。大事な人たちの言葉から何を受け取り、自身の思いをどれだけ尊重するのか。マクベスが走らせる車に並走しながら、青春の終わりにする彼らの決断に目を凝らすのが視聴者の役目のようだ。

■原航平
ライター/編集。1995年、兵庫県生まれ。Real Sound、QuickJapan、bizSPA!などの媒体
で、映画やドラマ、YouTubeの記事を執筆。Twitterブログ

■放送情報
『コントが始まる』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜22:54放送
出演:菅田将暉、有村架純、仲野太賀、古川琴音、神木隆之介
脚本:金子茂樹
演出:猪股隆一、金井紘(storyboard)
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:福井雄太、松山雅則(トータルメディアコミュニケーション)
主題歌:あいみょん「愛を知るまでは」(unBORDE/Warner Music Japan)
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/conpaji/
公式Twitter:@conpaji_ntv

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