神木隆之介、三吉彩花らが声で挑む“恋愛指南物語” イヤードラマ『恋侍』の魅力を紐解く

 4月1日よりスタートしたイヤーコンテンツ配信サイト『NUMA(読み:ヌーマ)』は、“日本初のイヤードラマ特化型音声版サブスクリプションサービス”で、豪華キャスト&制作陣による本格派イヤードラマなどのコンテンツを月額580円で聴くことができる。

 数あるイヤーコンテンツの中の注目作のひとつが、人気作家・柴崎竜人が原作・脚本を手がけたNUMAオリジナルイヤードラマ『恋侍』だ。物語は、21世紀を生きる、自称恋愛示現流・免許皆伝の恋侍、落合昌保(24歳)が、ある日訪れたコジャレた中目黒の立ち飲み居酒屋で、かつて高校時代に恋い焦がれていた学校のアイドル大崎夏帆と偶然の再会を果たすところから始まる。憧れの存在に対し、恋愛道の巨匠の教えを武器に、自身の脳内で果敢に恋愛試合を繰り出す童貞の落合が、経験も実績もない中、知識と妄想だけで闘う、男の恋愛指南物語である。

 そんな“妄想“と“知識“を刀に、果敢に恋愛道を突き進む主人公・落合昌保を神木隆之介が演じ、ヒロインの大崎夏帆の声を三吉彩花が務めている。そのほか、名バイプレイヤー小倉久寛や今井隆文がキャストとして脇を固め、OP&EDテーマはロックバンドFLOWのギターTAKEが担当している。

 そんな豪華制作陣が集結して生み出され、話題となっている『恋侍』の魅力はどこにあるのか。映画ライターのSYOとNana Numotoに、それぞれの視点から作品をレビューしてもらった。(編集部)

くだらなさ満開に見せかけて超テクニカル、極めて周到な快作

 1話約10分(全7話)の「声だけのドラマ」である本作は、ユーザーに届く「情報の制限」という特徴を最大化しており、設定や演出から構成まで、非常に気が利いている。まず、映像だと冗長になりすぎ、ノイズになりかねない「主人公の膨大なモノローグ(しかも早口)」が、状況説明と心情描写に早変わり。「大量に話す」ことの必然性が付加されるため、ストレスフリーで受け入れられる(神木隆之介の引き込む演技の上手さは、言わずもがな)。

 さらに、キャラ描写と共感の促進にも貢献。主人公のナード感を高めると共に、「学生時代のマドンナと飲み屋で再会したら?」という「あったらいいな」な魅力的なシチュエーションと絡ませることで、彼の脳内で爆ぜる「どうやったら彼女をオトせるのか」というリアルタイムな思考の動きが、聴く側の「自分だったらどうするか」と同化していくのだ。

 また、音声だけに絞ることで「マドンナはどんな表情をしているのだろうか」と妄想もはかどる(三吉彩花の匂わせ演技は流石!)。加えて、実に興味深いのは「マドンナが双子だった」という設定。音声だけではどちらがどちらか判断がつかず、主人公がその“正体”を探っていくコンゲームの面白さに、コミカルな男女の恋愛の駆け引きが相まって、「続きが気になる!」という衝動をかき立てる。くだらなさ満開に見せかけて、実は超テクニカル。極めて周到な快作だ。(SYO)

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