『おちょやん』千代のピンチを当郎が救う 名コンビ誕生にラジオドラマの成功を予感

『おちょやん』千代のピンチを当郎が救う 名コンビ誕生にラジオドラマの成功を予感

 女優復帰後の初仕事で千代(杉咲花)が演じたのは、15人家族の藤森家を切り盛りする母親のチヨ子。『おちょやん』(NHK総合)第107回では、臨場感あふれるラジオドラマの舞台裏が明かされた(以下、ネタバレあり)。

 「お父さん、お父さん!」。『お父さんはお人好し』は12人兄弟の次男・清二(細田龍之介)の結婚式の朝から始まる。チヨ子に呼ばれて登場したのは、花車当郎(塚地武雅)演じる“お父ちゃん”アタ五郎。スピーチ原稿に頭を悩ませるアタ五郎をチヨ子がせっつく。

 朝ドラとラジオドラマは切っても切り離せない。テレビが普及していなかった時代、ラジオは今よりずっと大きな影響力を持っていた。庶民の娯楽として始まったラジオドラマがテレビ放送の開始に合わせて改編され、現在の連続テレビ小説になった。もちろん全て生放送。スタジオには技師が勢ぞろいし、出演者が交代でマイクの前に立つ。

 生放送にはハプニングがつきものだ。ただでさえ出演者が多い上、決められた時間内に完結しなくてはならない。『お父さんはお人好し』も想定外の事態に見舞われる。それを招いたのは、まさかのお母ちゃん。千代が台本を2ページ読み飛ばしてしまったのだ。

 思えば、その兆候はあった。台本の読み合わせの時に、五男の横之助(有村春澄)と孫の一郎(高田幸季 ※「高」はハシゴダカが正式表記)が誤って七女の新子(松岡亜美)の服に水をかけてしまう事件があった。その場は千代が間に入って丸く収めた。また、解雇の不安におびえる長女・京子(大橋梓)の緊張をほぐすなど、始まる前から千代はすでに出演者たちの“お母ちゃん”になっていた。そんな千代は、収録が始まってからも絶えず子どもたちの様子に気を配っていたが……。

 効果音担当の鳴らした銅鑼の音に一郎が震え上がり、それを見た千代が駆け寄って声をかける。時あたかも新郎が新婦を追って姿を消した場面。出番に気付いた千代は、急いでマイクの前に戻る。「いろいろありましたけど、お父さん、きっちり締めとくれやす」。千代の方を向いて止まる一同。セリフを飛ばしたことに思い当たり茫然とする千代。窮地を救ったのは当郎だった。

 ネクタイをひっつかんで「きっちり締めるて何のことや」。当郎の視線に込めたメッセージを読み取った千代は、とっさのアドリブで話を元に戻したのだった。お母ちゃんとして気張っていた千代が、うっかり起こしてしまったアクシデント。それをしっかりフォローした当郎。成功を予感させる2人のコンビネーションだった。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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