エリック・ロメール特集上映の予告編&ビジュアル公開 濱口竜介、石橋静河らのコメントも
4月23日よりBunkamura ル・シネマほか全国で開催される「エリック・ロメール監督特集上映 六つの教訓話 デジタル・リマスター版」より、本ビジュアルと予告編、場面写真が公開された。
今年生誕101年を迎える、生涯にわたって女性を描き続けた恋愛喜劇の巨匠エリック・ロメール。のちに、80年代の『喜劇と格言劇』シリーズ、90年代の『四季の物語』シリーズへと成熟してゆくロメールが、構想10年、製作期間10年をかけ、一番最初に作った連作が、『六つの教訓話』シリーズとなる。
『六つの教訓話』シリーズとは、2人の魅力的な女性と、そのはざまで運命の愛を求め悶々とする男というフォーマットのもと、パリの街角や湖畔の避暑地、南仏のリゾートなど美しいフランスの風景で織りなされる6つの恋物語。『モンソーのパン屋の女の子』『シュザンヌの生き方』『コレクションする女』『モード家の一夜』『クレールの膝』『愛の昼下がり』の6作品が上映される。さらに、『カイエ・デュ・シネマ』誌に映画批評を寄稿し始めた頃の若きロメールが撮ったジャン=リュック・ゴダール主演の『紹介、またはシャルロットとステーキ』や、日本初公開(未ソフト化)のロメール自身が出演した『ベレニス』など初期短編6作品に加え、ロメールの長編デビュー作『獅子座』も特別に上映されることが決定した。
また、特集上映に際して、映画監督の濱口竜介、俳優の石橋静河、ミュージシャンの夏目知幸からはコメントが寄せられた。
コメント
濱口竜介(映画監督)
エリック・ロメールほど一生を通じて「面白い」映画だけを作り続けた人はいない。面白い映画を探している人は皆、どうかまずこの「六つの教訓話(道徳的コント集)」シリーズを発見していただきたい。しかし、これらの映画からどのような教訓を引き出すこともできはしない。誘惑に右往左往する男たちの姿に「道徳とは果たして何か」と宙吊りにされるのみだ。しかし、面白い映画というのはそもそもそういうものなのだ。答えは宙吊りにされ、私たちは永遠に誘惑され続ける。
石橋静河(俳優)
初めてロメール作品を観たのは白黒映画を観るために名画座に通っていた時だった。言葉の通り、世界が色づきキラキラと全てが輝いてみえた。それから私はロメール作品に恋をした。物事の善悪ではなく、美しいから良いという、曖昧でシンプルな芸術の寛大さを、息の詰まる現代を生きる私たちにも教えてくれる気がする。
夏目知幸(ミュージシャン)
出てくる人みんな身に覚えのあるダサさがあって、しょうもな……と思うにつけ自分も痛い。彼らは話しているというより誰かに喋らされている。都会ってそういう場所だ。滑稽で、なんか気持ちいい。快感のあとは、疲れ。俺の心には風が木々を揺らす音、人気のない浜辺の水平線、街を行き交う車のツヤツヤだけ残る。 思い出の背景。いっぱい増やしたいよねと映画が言ってくる。
■公開情報
「エリック・ロメール監督特集上映 六つの教訓話 デジタル・リマスター版」
4月23日(金)~5月20日(木)、渋谷Bunkamuraル・シネマにて開催
<六つの教訓話>
『モンソーのパン屋の女の子』(c)1962 Les Films du Losange
『シュザンヌの生き方』(c)1963 Les Films du Losange
『コレクションする女』(c)1966 Les Films du Losange
『モード家の一夜』(c)1968 Les Films du Losange
『クレールの膝』(c)1970 Les Films du Losange
『愛の昼下がり』(c)1972 Les Films du Losange
<初長編作品>
『獅子座』(c)1965 Les Films du Losange
<短編作品>
『紹介、またはシャルロットとステーキ』(c)1951 Compagnie Eric Rohmer
『ベレニス』(c)1954 C.E.R. Compagnie Eric Rohmer
『ヴェロニクと怠慢な生徒』(c)1968 Les Films du Losange
『パリのナジャ』(c)1964 Les Films du Losange
『ある現代の女子学生』(c)1966 Les Films du Losange
『モンフォーコンの農夫』(c)1967 Les Films du Losange
配給:コピアポアフィルム
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
(c)Eric Rohmer/LES FILMS DU LOSANGE
公式サイト:rohmer-sixcontesmoraux.jp
公式Twitter:@ericrohmer2021