『Dr.STONE』を成功に導いた声優陣の熱演 小林裕介、河西健吾らがカリスマ性を放つ

 さらに、本作には今やアニメ界に欠かせない存在となっている中村悠一と石田彰が出演し、科学王国が苦戦を強いられる最強集団・司帝国としての説得力を持たせている。話題沸騰中の『呪術廻戦』で特に高い人気を誇る五条悟役でもお馴染みの中村が演じるのは、圧倒的な武力と千空にも負けない知的さを併せ持つ司。敵キャラではあるが、司は無益な殺傷は好まず、千空が「善い奴で人殺し」と称するように基本的には穏やかな人間だ。中村はこれまでも、『ハイキュー!!』黒尾鉄朗や『フルーツバスケット』草摩紫呉のように掴みどころのない“食えない男”を演じてきたが、その落ち着きある低音ボイスがキャラクターに色気を与える。だからこそ、憎き相手であるはずの司も魅力的で、彼の行いにも意味があるように思えてくる。実際に第9話では、司が臨床的脳死となった妹を生かすための生命維持費を稼ぐために格闘家として活動していたことが明らかに。そして、千空は復活液の周辺修復効果を利用して妹を助けられる可能性を提示した上で停戦を申し込み、司もそれに応じた。

 しかし、これでめでたし、めでたし……とはいかない。気になるのは石田が演じる司帝国の一人、氷月の存在だ。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の猗窩座、新劇場版シリーズ完結で盛り上がっている『新世紀エヴァンゲリオン』の渚カヲルなど、記憶に残る敵キャラ役を務めてきた石田演じるキャラクターが大人しく引き下がるとは思えない。司とは違い、いとも容易く人を手にかける非情さが目立つ彼の目的は一体何なのか。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■放送情報
『Dr.STONE』
TOKYO MXほかにて、毎週木曜22:30〜放送
原作:稲垣理一郎・Boichi(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:飯野慎也
声の出演:小林裕介、古川慎、市ノ瀬加那、中村悠一、沼倉愛美、佐藤元、前野智昭ほか
(c)米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会
公式サイト:https://dr-stone.jp/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アニメシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる