『俺の家の話』第6話が爆笑を巻き起こした理由 多幸感あふれた“潤 沢”のパフォーマンス

『俺の家の話』第6話が爆笑を生んだ理由

 TBSでの前作『監獄のお姫さま』でもそうだったが、宮藤官九郎は、世間では“おばさん”とひとくくりにされがちな中年女性の描き方が抜群にうまい。男性の陰に隠れて生きるけなげな女性ではない、でも、恋愛をあきらめたわけでもない。人生との折り合いをつけ、楽しめる部分は楽しんでいる。『監獄のお姫さま』のセリフにあったように「(おばさんだけど)みんな誰かの姫」なのだ。そんなリアルな女性像は、同性から見ても共感できる。それは、ヒロインのさくら(戸田恵梨香)についても同じで、第6話ではすっかり寿一に恋をしてしまったさくらが、スパリゾートハワイアンズまで追いかけてきて「“山賊抱っこ”をして」と寿一に迫る場面がおかしくも共感できた。時に、女性にとって恋愛で大切なのは、好きな相手本体というより、相手が提供してくれるシチュエーションだったりもする。

 寿一は寿三郎のわがままに付き合い、極力その願いを叶えようとしていたが、フラれた寿三郎に八つ当たりされ、ついにブチ切れてしまう。プロレスラーだけにキレて暴れる姿も迫力があり、弟たちも寿一を止められない。寿一はそんな状態で、寿限無も寿三郎が実の父だと知って以来、笑顔を見せないでいたが、寿三郎がステージで熱唱した「マイ・ウェイ」が全てを帳消しにした。子供たちは父の堂々たる歌を聴いて感動し、5人の家族は一気に和解。ステージ上で家族の集合写真を撮って、家族旅行は最高の思い出となった。

 ここでドラマが終われば、めでたしめでたしのハッピーエンドなのだが、3月5日放送の第7話からは第2章が始まり、物語はクライマックスに向かうようだ。予告動画をヒントに予想すると、寿一とさくらは男女として接近、寿一は息子の親権を争う調停で不利な立場となり、息子に能の稽古を続けさせるため元妻に土下座するはめに。そして、余命半年から1年と言われた寿三郎との別れも近づく!? 笑いに昇華された第6話から一転、3世代にわたる父と子の関係がフォーカスされていきそうだ。

■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。

■放送情報
金曜ドラマ『俺の家の話』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:長瀬智也、戸田恵梨香、永山絢斗、江口のりこ、井之脇海、道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、羽村仁成(ジャニーズJr.)、荒川良々、三宅弘城、平岩紙、秋山竜次、桐谷健太、西田敏行
脚本:宮藤官九郎
演出:金子文紀、山室大輔、福田亮介
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:勝野逸未、佐藤敦司
編成:松本友香、高市廉
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

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