岡田健史VS東啓介、浜辺美波の相手はどっち? 『ウチカレ』空にとって衝撃だった風雅の半生

『ウチカレ』“流木”のような風雅の半生

 碧(菅野美穂)にとってはかつて愛した男、空(浜辺美波)にとっては実の父親である一ノ瀬風雅(豊川悦司)に、2人は会いに行く。『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日本テレビ系)第8話の舞台となるのは、風雅の住む逢瀬島だ。

 風雅は碧のことも、あろうことか空の生みの親である鈴(矢田亜希子)のことも忘れていた(一応、フリをしている可能性も)。それは20年前の出来事。碧も鈴も星の数ほどいる女性相手の中の一人に過ぎなかったということか。

 先に第8話の結末を話してしまうと、空は碧宛てに置き手紙を残して風雅と共に旅に出てしまう。

「かーちゃん、空はしばらく
旅に出ることにした フーガとな
達者でな
連絡するね」

 空が島にやってくる前から晴天の写真を撮り溜め「空は今日はどんな顔してんのかなって思ってるんですよ」と運命めいた言葉を話していた風雅。碧が小説『真夏の空は、夢』の締め切りに追われている間、風雅は自然と空との距離を縮めていく。

 夜ご飯のために海へ釣りに出かけ、焚き火で釣った魚とマシュマロを焼いて食べる。外にテントを張り、リモンチェッロではなく島の焼酎を勧められ、焚き火と流木に吊るされたランプの光の元でジャニス・イアンの「Will You Dance?」に乗せて踊る。血の繋がった父親との初対面というのもあるが、風雅は空にとって“水族館にいるジンベエザメ”のような、別次元に生きる存在。かつて碧が恋した1週間のその後、風雅は壮絶な人生を送っていた。

 33歳の時に役者として夢を叶え、窮屈になった風雅は、南の島の民宿で働いてみたり、路上で歌を歌ったり、ありとあらゆることをして、ありとあらゆるところに行った。自ら家を捨て、世界中を家にしてみせたのだ。

 パソコンの画面とキーボードから生み出される水無瀬碧の小説が多くの人を幸せにしている。そのことが誇りであった空にとって、風雅の生き方は衝撃的だった。まるでぶつかりながらも旅する中で強くなっていく流木のように。1年に地球の半分もの距離を飛び世界中を家にする渡り鳥のように。風雅と意気投合した空の満面の笑みを見ると旅に出たくなるのも仕方がなく思えてくる(もちろん、「渡り鳥」のセリフは、[Alexandros]の楽曲「ワタリドリ」を意識した脚本であろう)。

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