“赤井秀一”の底知れなさを堪能 『名探偵コナン』緋色シリーズはなぜ必見なのか

『名探偵コナン』緋色シリーズはなぜ必見か

コナン史上最大の謎「来葉峠の真実」が明らかになる「緋色」シリーズ

 『名探偵コナン』において最大の謎とも謳われたのが、先述した「緋色」シリーズの全容である。黒ずくめの組織によって消されたはずの赤井秀一に、本当は何が起きていたのか——? 約7年ものあいだ伏せられてきた謎の真相が、原作コミック84・85巻に収録された全5話にて解き明かされている。

 59巻にて拳銃で打たれたあと焼死体となったはずの赤井が「緋色」シリーズで“帰還”するまで、作中には新たなキーパーソンが登場していた。毛利小五郎に弟子入りした青年、安室透である。安室は黒の組織の一員・バーボンとしての顔も持っており、さらには公安警察のエース“ゼロ”こと降谷零という、トリプルフェイスをこなす男だ。

『名探偵コナン 緋色の不在証明』(c)青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 1996

 そしてもうひとり、工藤家に居候することになった大学院生・沖矢昴。彼の正体をめぐる物語もまた、この「緋色」シリーズの見どころとなっている。沖矢の正体を怪しむ安室と対峙するため、コナンはジョーカー的な存在ともいえる自身の父・工藤優作の手を借りることに。はたして役者がそろい、桁外れの頭脳による攻防戦が繰り広げられることになる。

 FBI捜査官と公安警察“ゼロ”の攻防、さらに黒の組織に潜入捜査していた際に生まれた因縁も絡んでくるという、スパイもの・警察ものが好きな読者にはたまらない展開だ。そして赤井秀一の死の真相の背後には、コナンの存在が深く関わっている。赤井とコナンの“共犯関係”に、多くのファンがしびれたはずだ。

『名探偵コナン 緋色の弾丸』(c)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 さらに『名探偵コナン 緋色の不在証明』では、赤井秀一を筆頭に、全員ワケありの“赤井ファミリー”が登場する。一家の末妹で女子高生探偵の世良真純、赤井の弟で7冠を達成したプロ棋士・羽田秀吉。そして母のメアリーはMI6諜報員にして、現在は少女の姿となり「領域外の妹」と名乗っている……。これまで断片的に明かされてきた“赤井ファミリー”の関係性が、『緋色の不在証明』で紐解かれていく様も見どころだ。

 また劇場公開にあたり、コナンによるナレーションを録り下ろしているほか、音響も新たに編集し直されているという。さらに映像特典として、新規映像「赤井秀一からのシークレットメッセージ」に加え、劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』の最新予告編も上映される。『緋色の弾丸』を1000%楽しむためにも、ぜひ劇場に足を運んでほしい。

※羽田秀吉の吉は上が土が正式表記

■藤谷燈子
ライター。ノベライズをはじめ、主に女性向けゲームやドラマCDのシナリオを手がける。イベント取材やインタビュー、ガイドブックの執筆なども担当。Twitter

■公開情報
『名探偵コナン 緋色の弾丸』
4月16日(金)全国東宝系にて公開
原作:青山剛昌『名探偵コナン』(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
監督:永岡智佳
脚本:櫻井武晴
音楽:大野克夫
声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、池田秀一ほか
スペシャルゲスト:浜辺美波
主題歌:東京事変「永遠の不在証明」
配給:東宝 
製作:小学館/読売テレビ/日本テレビ/ShoPro/東宝/トムス・エンタテインメント 
(c)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

『名探偵コナン 緋色の不在証明』
全国東宝系にて限定公開中
※TVアニメシリーズの特別総集編
原作:青山剛昌『名探偵コナン』(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
脚本:宮下隼一 
音楽:大野克夫
声の出演:高山みなみ、池田秀一、日高のり子、森川智之、田中敦子ほか
配給:東宝 
製作:トムス・エンタテインメント 
(c)青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 1996 
上映館リスト:https://theater.toho.co.jp/toho_theaterlist/conan-fuzai.html

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