小芝風花主演『モコミ』が説く親子関係の難しさ 母・千華子を縛る世間の目という“呪い”

小芝風花主演『モコミ』が説く親子関係の難しさ 母・千華子を縛る世間の目という“呪い”

 「萌子美の10年間を奪ってしまってごめんなさい」ーー土曜ナイトドラマ『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』(テレビ朝日系)第5話は、ついに母親の千華子(富田靖子)が萌子美(小芝風花)に涙ながらに謝る母親の内省回となった。

 “人と接する仕事”というだけで花屋でのバイトを始めることにも否定的だった千華子の心配をよそに、萌子美は確実に“外の世界”に居場所を作りたくさんの人と繋がり始めていた。幼少期より萌子美と他の子との差異を見つけてはそれが少しでもバレないように萌子美を隠すようにし、娘本人にはすぐに直すように矯正しようとしてきた。

 10年間の引きこもり生活を経て、萌子美が初めて勇気を振り絞って言った“自分のやりたいこと”に対してもまず第一声が「失敗したらどうするの?」、萌子美のフラワーアレンジメントを気に入ってくれたお客様が現れたと聞いたときも「ビギナーズラックってやつかしら? 調子に乗っちゃダメよ」と、先回り先回りして未然に少しのリスクの芽でも取り除こうとする。萌子美が不要に傷ついたり、期待をした分それが叶わなかった時のショックがないように、恥をかかないようにと、観ているこちら側からすると過保護がさらに行きすぎてとてもとても窮屈な形で、ただ彼女なりの“親としての務め”を果たそうとする。とにかく千華子は常に切羽詰まっていて、何かに駆り立てられていて、確かに彼女と一緒にいる方も心休まらないだろうが、何より彼女自身が自分にたくさんの呪いをかけてしまっており、自分で自分を疲れさせてしまい、事を複雑にしてしまっている。

 ただ、ここまで極端でなくとも多かれ少なかれ「親子関係」というのはそんな側面があるものなのかもしれない。特に母親は“家族のために”“子どものために”と心を砕きながらあれこれ手を焼くが、それが尽く裏目に出る場合もあるだろう。「親子なら、家族なら分かり合えて当然」というあまりに乱暴な思い込みもあるが、子は親の分身ではないし“別の人間”である以上、確かに2人の間には他の人間関係同様に“相性”は存在する。“相性の悪い親子”という組み合わせもいて当然だし、それぞれの人間関係に適切な距離感があるように、親子にも家族間にも必要な距離感があるのだと思う。

 ただ、千華子は萌子美のことに限らず、自分が高校教師の夢を諦めたことも、自身の父親・須田観(橋爪功)の元教え子との不倫のせいだとし、「親が元教え子と不倫した高校教師なんて世間の恥さらしよ」と言い捨てる。さらに、税理士業務を自宅で始めた夫の伸寛(田辺誠一)が近所のコンビニに昼食を買いに行ったのをご近所さんに見られた際にも「私が家事をやってないみたいに思われるじゃない。ご近所の笑い者よ」と、あらゆる評価基準が「世間の目」「世間体」になってしまっているのだ。そりゃあこの性質の母親の下に、モノと話せる萌子美という組み合わせは互いにとって相当ハードモードだったことだろう。

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