北山宏光×佐藤勝利が生み出す新たな笑い シンドラの新機軸『でっけぇ風呂場で待ってます』

 日本テレビの連続ドラマ放送枠「シンドラ」第14弾として放送されている、『でっけぇ風呂場で待ってます』が面白い。

 同作の舞台は“でっけぇ風呂場”、江戸時代から150年続く下町の銭湯「鵬の湯」だ。鵬の湯5代目番頭の松見芯(Kis-My-Ft2・北山宏光)と、その後輩の梅ヶ丘龍大(Sexy Zone・佐藤勝利)、アルバイトの瀧薫(シソンヌ・長谷川忍)らが、毎回ハプニングやトラブルに巻き込まれ、それを乗り越えていくというシチュエーションコメディで、これまでのドラマとは違う新しいタイプの作品だ。「北山宏光×佐藤勝利×最強コント師」と銘打っているだけあり、ドラマ感はほぼゼロ。主演の2人の芝居もアドリブ感があり、時折スタッフの笑い声らしきものも入っており、『吉本新喜劇』や『志村けんのだいじょうぶだぁ』などのコントバラエティ番組に近い印象である。夢中になって観ていると、劇場で観ているかのような感覚にすらなる。ほっこりクスッと笑え、何かとギスギスした今の時代、多くの人に受け入れられそうな作品である。

 実際SNS上でも好意的な意見が多く、少し検索しただけでも「癒やされる」「好き」「面白い」というコメントを多々見ることができる。もちろん、この作品自体の企画や人気コント師たちによる脚本の素晴らしさは言わずもがなだが、主演を務める北山と佐藤もいい味を出しているのだ。

 まず、北山演じる芯さんは人情味あふれる兄貴的存在。強面で従業員を叱ることもあるが、そこには必ず愛がある優しい男だ。北山と言えばこれまで憎めないチャラ男風の役が板についていたが、今回はどちらかというと硬派な役。ただ、「好きな人がいる」と言って照れている場面や、後輩の梅ちゃんこと梅ヶ丘を愛でる場面では、持ち前の愛嬌を遺憾なく発揮している。さらに、芸人たちとの絡みで発生するコミカルな動きや台詞回しもバッチリ。さすがは果敢にバラエティにチャレンジしてきたKis-My-Ft2、演技にも培ってきたスキルを活かしている。しかも、面倒見が良く誰とでも仲良くなれるという北山の素の部分も、役に反映されているようにも見える。

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