坂元裕二脚本の映画が出来るまで 『花束みたいな恋をした』でも尊い“ファミレスの会話劇”
本作は、東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことから偶然に出会い、その夜から始まるひとつの恋の5年間の行方を、同時代のカルチャーを背景にしながら描く恋愛映画。菅田将暉演じる山音麦と有村架純演じる八谷絹が好む、本や音楽、アニメ、舞台、ゲーム、漫画、カメラなど、あらゆるサブカルチャーの移り変わりとともに時間の流れが描かれている。
試写室で本作を鑑賞していたとき、涙をすする声がたくさん聞こえた。自分がしてきた恋愛を本作で思い出し、重ねる人も多い気がする。坂元は、この物語をあまりよく知らない人のインスタと、友達の友達に関する又聞きの2名を対象にして、ストーリーを積み上げていったそう。その経緯からか、主人公の麦と絹の5年間は、自分ではなくても、ちらっとSNSで写真を見かけたことがあるような、友達の友達の話くらいに感じさせ、2人を身近な人物として存在させていた。
そして、本作でも大事な会話は『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)と同様に、ファミレスで繰り広げられる(参考:『いつ恋』最終話はなぜ“ファミレスでの会話劇”で幕を閉じた? 脚本家・坂元裕二の意図を読む)。「ファミレスが出てこない話があったら、我慢してると思ってもらってもいい(笑)」と語るくらい、坂元作品にとって欠かせないファミレスで、今回はどんな話が聞けるのか、楽しみに劇場に足を運んでもらいたい。
■公開情報
『花束みたいな恋をした』
全国公開中
出演:菅田将暉、有村架純、清原果耶、細田佳央太、韓英恵、中崎敏、小久保寿人、瀧内公美、森優作、古川琴音、篠原悠伸、八木アリサ、押井守、Awesome City Club、PORIN、佐藤寛太、岡部たかし、オダギリジョー、戸田恵子、岩松了、小林薫
脚本:坂元裕二
監督:土井裕泰
製作プロダクション:フィルムメイカーズ、リトルモア
配給:東京テアトル、リトルモア
製作:『花束みたいな恋をした』製作委員会
(c)2021『花束みたいな恋をした』製作委員会
公式サイト:hana-koi.jp