上野樹里が伝えたいと語る、“生きることの尊さ”  「朝顔を通してできることは全部やりたい」

上野樹里が『監察医 朝顔』で伝えたいこと

  2020年最後の放送となったフジテレビ系月9ドラマ『監察医 朝顔』第9話(12月28日放送分)は、圧巻だった。

 21歳の読者モデルの遺体が運ばれてきたところから、SNSでは様々な憶測が流れ、被害者と親交のあったモデル仲間や、かつての交際相手にも疑いの目が向けられることに。そんな中、自身の正義感から法医学者としてやってはいけない行為に踏み切ったアルバイトの医学部生・牛島(望月歩)に対し、朝顔(上野樹里)は怒りをにじませながらも切々と諭す。

 なぜ法医学者という存在がいるのか、法医学者は遺体とどう向き合うべきなのか。「今、死ぬことを踏みとどまって、頑張って生きてる人の姿、ご遺族の姿、想像できた?」「死と向き合うからこそ生きることの尊さを深く知っていなければいけないと思う」といった約10分間にも及ぶ長ゼリフは、芝居を、ドラマを超え、私たち視聴者の心に深く刺さるものとなった。

 これは制作スタッフと上野樹里本人によって練られたものだったというが、その思いについて上野はこう語っている。

「2020年は、SNSの影響で命を落とす方や、コロナ禍で病死される方、女性は自分で命を絶つ方が増えているなど大変な一年でした。年末にバラエティを観て楽しむのも良いですが、ドラマとして、作品の中では現在の世の中に対して目をつぶれない、向き合わなければいけないことがあるんじゃないかと。そこで、プロデューサーさんや脚本家さんが、SNSなどのエッセンスを入れてくれた台本に、さらに朝顔としての自分の気持ちや立場をのせて、どんな風に言うと視聴者の皆さんに届くかを考えながらセリフを練り直していったかたちです。法医学者として死と向き合うからこそ、生きることの尊さを皆さんにこの『監察医 朝顔』というドラマを通して伝えたい、そして今自分がこのドラマを通して伝えたいことや、実際に法医として働いている先生方に敬意を込めて、誰の心にもしっかり響くようなメッセージ性の強いラストになりました」

 第1シーズンでは講義のシーンが印象に残っているが、その時も上野は制作スタッフと共にセリフを練り上げた。当初は解剖の話をする授業であったが、そこに震災で母を失ったことを生徒たちに語るというシーンを加え、約8分間のシーンに。結果、朝顔自身が母の死を乗り越えるうえで非常に重要なポイントとなった。同様に、今回も向き合わなければいけない問題をエッセンスとして入れたところに、「朝顔だったら、どういうセリフで言うことによって、気持ちがのるか」を一緒に考えていった結果、第1シーズンの8分を超える10分という長ゼリフとなったそうだ。

「実は最初の台本よりも、説明などのところを簡潔にして、かなり短くしたんですよ(笑)。第1シーズンの講義のシーンでもそうでした。視聴者の皆さんが興味を持つところは、法医として死因を語るところもあるけど、それよりも『死によって何を学ぶのか』『朝顔がどう感じて、どうすべきだと思うのか』という部分じゃないかと思うんです。そこを丁寧に描くことで、“法医学者のドラマ”ではなく、“今、同じ時を生きている人たちのドラマ”として評価され、自分のこととして捉え、感じてもらえると思うので。『監察医 朝顔』って、特殊なお話のようでいて、日常のいろんなことを包み隠さず描いている作品なので。そこで思いが溢れるようなセリフ、シーンがいろいろあるところに、すごくやりがいを感じています」

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