若葉竜也は作品ごとのポジショニングが的確 『街の上で』『あの頃。』で2021年も映画界を席巻!?

若葉竜也は作品ごとのポジショニングが的確

『生きちゃった』(c)B2B, A LOVE SUPREME & COPYRIGHT @HEAVEN PICTURES All Rights Reserved

 一方、公開中の『AWAKE』や、『生きちゃった』では準主役級のキャラクターを演じている。前者では吉沢亮を、後者では仲野太賀を立てる役どころであり、彼の支えによって主役は輝き、その輝きを受けて、また若葉も輝いているように見えた。つまり、主演俳優とのアクション・リアクションの関係が、高いレベルで築き上げられているのだと思うのだ。『AWAKE』ではセリフも動作も控えめな“静”の演技で、逆に『生きちゃった』では“動”の演技で劇中における自身のポジションを確立していた。等身大の若者に扮しながらも、その内面はそれぞれ違う。それらを表現する絶妙なさじ加減に観客は唸らされるのだ。さまざまな現場に必要とされるのも納得。朝ドラ『おちょやん』(NHK総合)への登場も楽しみである。

『AWAKE』(c)2019『AWAKE』フィルムパートナーズ

 若葉の2021年は、出演した『あの頃。』と、公開延期となっていた『街の上で』が控えている。いずれも『愛がなんだ』の今泉力哉監督作で、下北沢の街を舞台にした『街の上で』では主演を務めている。この『街の上で』の公開が延期となっても、若葉の存在の重要性は十分に知れ渡ったわけだが、本作を観ると、それがより強く感じられる。2021年も映画界を席巻しそうだ。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■公開情報
『街の上で』
2021年4⽉9⽇(⾦)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋⾕ほか全国順次公開
出演:若葉竜也、穂志もえか、古川琴音、萩原みのり、中田青渚、成田凌(友情出演)ほか
監督:今泉力哉
脚本:今泉力哉 、大橋裕之
音楽:入江陽
主題歌:ラッキーオールドサン「街の人」(NEW FOLK / Mastard Records)
配給:『街の上で』フィルムパートナーズ
配給協力:SPOTTED PRODUCTIONS
(c)『街の上で』フィルムパートナーズ
公式サイト:https://machinouede.com/
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