ベイダー卿ら『スター・ウォーズ』関係者複数 2020年コロナで亡くなった映画業界人を振り返る

コロナによって亡くなった映画業界人

アンドリュー・ジャック(言語コーチ・俳優/76歳没)

 映画を撮影する上で欠かせないのが、俳優の演技。そこにとても重要に関わってくるのが言語の発音です。アンドリュー・ジャックは『スター・ウォーズ』シリーズの『フォースの覚醒』と『最後のジェダイ』に登場したイーマット将軍としても知られているイギリス人俳優。しかし何を隠そう、彼は本業である言語コーチとしてこれまで200名以上にものぼる俳優・女優に指導してきた凄い人なのです。

 アメリカ人俳優であるロバート・ダウニー・Jr.がチャップリンやシャーロック・ホームズを演じた時も、ジャックが彼の側につきっきりでイギリスアクセントを指導。その他にも、007時代のピアース・ブロスナンやケイト・ブランシェット、ヴィゴ・モーテンセンが彼のお世話になりました。

 また、彼は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの言語スーパーバイザーでもあり、作品内に登場するエルフ語や暗黒語といった中つ国オリジナル言語のアクセントを創り(!)、俳優人に教えていました。あのブラッド・ピット主演作『トロイ』に登場するギリシャ人やトロイ人のアクセントもデザインした人でもあり、彼が映画史に与えた功績は数えきれないほど。

 残念ながら、コロナ感染2日後に他界。生前最後に取り掛かっていた仕事は、ロバート・パティンソン主演の『ザ・バットマン』でした。

ジェイ・ベネディクト(俳優/68歳没)

 『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の端役に出演するもリリース版ではカットされてしまい、『エイリアン2』ではニュートの父であり、最初のフェイス・ハガー寄生者として同惑星の住民を全滅させた張本人ラス・ジョーダンを演じるも完全版にしか登場しない。日本ではあまり知名度がないかもしれませんが、ジェイ・ベネディクトはイギリスではとても知られ人々に愛された俳優でした。

 キャリアが始まったばかりの20代の頃は、キングス・ロードでやっていた『ザ・ロッキー・ホラー・ショー』やハロルド・ピンター『青春の甘き小鳥』といった劇に出演。その後、イギリスの国民的ドラマ『Emmerdale(原題)』の出演で広く知られ、テレビと映画の両方で活躍しました。決して大きく目立ったわけではありませんが、声優としての実績もあり、まさになんでもできるバイプレイヤー的存在だったのです。

 ベネディクトは4月4日、ロンドンでパンデミックが広がる最中に69歳の誕生日を目前に息を引き取りました。

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