『恋する母たち』子どもたちの成長とともに母たちの恋が動き出す 物語は2020年へ突入
母たちは恋に現実を見て、そんな母たちとの恋に男は夢を見る。
『恋する母たち』(TBS系)第7話。杏(木村佳乃)と斉木(小泉孝太郎)はお互いの「めんどくさい」部分が露呈して別れることになり、夫に不倫がバレた優子(吉田羊)は単身赴任をきっかけに赤坂(磯村勇斗)と距離を取り、まり(仲里依紗)はまりの夫・繁樹(玉置玲央)のスキャンダルで丸太郎(阿部サダヲ)との恋どころではなく……それぞれの恋は身動きが取れない状態にあった。
母たちには守るべきものがある。それは、子どもたちとの生活。自分1人であれば、すぐにでも飛び込めたかもしれない。しかし、そのワガママに子どもたちを簡単には巻き込めない。ましてや子どもの父である夫や元夫が弱っているとしたらなおさらだ。個人の幸せと、家族という小さな集団の幸せが、いつでも一致するとは限らない。そんな現実を見つめる母たちの恋に付き合えるかどうかは、母たちに恋する男たちの力量にかかっている。
杏と斉木のイライラ婚
斉木は、相変わらず気難しく不器用だ。酔っ払った勢いで謝ろうとしていた杏にも「シラフのときに話そう」と拒絶する。良く言えば誠実でまっすぐ。だが、それは柔軟性に欠けるとも言える。そんな斉木が「ラストチャンス」を歌いながら、文字通り自分の人生のラストチャンスを掴むために、一大決心をする。杏と結婚し、そして建築家となる夢を追いかけること。
杏の息子・研(藤原大祐)も、最近は父親である慎吾(渋川清彦)のもとに行き来し、暮らしぶりが変化していたところだった。これからは、自分の恋を大事にすることができるタイミング。収入は少し減るけれど、斉木の夢を共に追いかける日々も悪くない。そう杏も思い、斉木のプロポーズを改めて受け入れ、2人は晴れて結婚をする。きっと杏は斉木の気難しいところにやきもきするに違いない。そんな杏を斉木は「めんどくせぇ」と思うはずだ。それでも、お互いが「一緒にいるとイライラするんだけど、会えないともっとイライラする」と言ってほほえみ合うのだから、似た者同士うまくいってほしいところ。
優子と赤坂のオウンゴール
一方、赤坂への恋も、与論島に向かった夫・シゲオ(矢作兼)と息子・大介(奥平大兼)のことも忘れるように仕事に没頭する優子。門前払いをくらってきた営業先に足繁く通う日々を送っていた。プライベート返上で仕事に打ち込む優子に、少しずつ心を開いていく社長たち。だが、むこうも長年の付き合いがある取引先を簡単に手のひら返して契約を打ち切るわけにはいかない。そのあたりは、母たちの恋とどこか似ている。そこで、母である優子を振り向かせた赤坂からのアドバイス「相手のオウンゴールを待て」が効いてくる。
やれるだけのことはやって、あとは「天命を待つ」。それは、赤坂が今も優子を口説き続けているという宣言でもある。かつての熱意と行動力で優子を口説いたときの赤坂とは違い、今はそっと千葉に帰る優子をタクシーから見つめるだけ。もちろん、手をそっと差し伸べるあたり、その気持ちには変化がないと暗に伝えながら……。優子は、その気持ちを受け入れながら、赤坂と付き合っているという有馬(結城モエ)の言葉に複雑な思いを抱いていた。結婚する杏を見つめながら、赤坂が有馬と新たなステージに進んでいくのかと思うと寂しくもあった。遠く離れた場所に住み、そのうえ赤坂との恋に突き進んでしまったら、大介の母という存在意義を失ってしまうような気がして怖いのだろうか。今は恋を手放して見せている優子だが、彼女のオウンゴールを赤坂がじっと待っている。