『ルパン三世 THE FIRST』から考える山崎貴監督の作家性 ポイントは原作へのオマージュにあり

『ルパン三世』から山崎貴の作家性を考える

 山崎監督はどのように既存のコンテンツを映画にしているのだろうか。久保田氏は、山崎監督の特徴として最先端技術の使用を挙げる。

「山崎監督が手がける作品は、原作ファンの熱量がとくに高いものが多いので、反発も一定数はあるかと思います。しかし、原作の魅力を損なわずに映画を作ることができる、娯楽作家としての下地がある人なのは間違いないです。長編2作目の『リターナー』は、当時の日本映画で珍しいタイプのアクション映画でしたし、代表作となった『ALWAYS 三丁目の夕日』は、昭和という風景がどのようなものだったのかを当時最先端のVFX技術で徹底的に再現していました。つまり、映像化にあたってハードルとなっている部分や構図も、技術力で可能にしてしまうことができる。長く続くコンテンツというものは、どうしてもマンネリ化してしまうものです。だからこそ、その技術で次の世代にどう受け入れてもらえるか考えながら作っているように思えます」

 久保田氏は、『ルパン三世 THE FIRST』を今改めて観る価値を、以下のように語る。

「『ルパン三世』のアニメ映画は、『名探偵コナン』とのコラボ作品や、『LUPIN the Third -峰不二子という女-』などを除くと、1996年作『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』以来なんです。今回の放送で、初めて『ルパン三世』を知る世代もいるかもしれません。これを機に原作やオリジナルのアニメ版に目が行くきっかけになればと願っております」

 今回の放送を機に、原作にも触れてみることでより新たな世界が広がるかもしれない。

■放送情報
『ルパン三世 THE FIRST』
日本テレビ系にて、11月27日(金)21:00〜22:54放送(※地上波初放送)
原作:モンキー・パンチ
脚本・監督:山崎貴
音楽:大野雄二
出演:栗田貫一、小林清志、浪川大輔、沢城みゆき、山寺宏一、広瀬すず、吉田鋼太郎、藤原竜也
制作:トムス・エンタテインメント マーザ・アニメーションプラネット
(c)モンキー・パンチ/2019映画「ルパン三世」製作委員会

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