アメリカ大統領選はどうなる? ハリウッドはこの選挙にどう向き合っているか
有料ケーブルテレビ局のSHOWTIMEでは、9月末にオバマ政権下でFBI長官に任命され、トランプ政権に移行後の2017年に解任されたジェームズ・コミーの手記を元にしたドラマ『ザ・コミー・ルール 元FBI長官の手記』が放送された。日本では11月1日にWOWOWで放送されている。
2016年の大統領選直前に発覚した、ヒラリー・クリントン元国務庁長官の私用アカウントでのメール送受信問題、そしてメールアカウントがハッキングされた原因を元にロシアゲート事件へとつながっていく捜査を描く。ヒラリーの私用メール事件が2018年の大統領選に影響を与えた描写では、投票日の夜のアメリカ中が沈んだ瞬間を思い出し胸が苦しくなった。ジェフ・ダニエルズが演じたコミー元FBI長官は、彼を任命したオバマ前大統領に「FBI(連邦捜査局)の職務を遵守するため、政治(大統領)とは距離を置く」と宣言。あれからたった4年で、職務の矜持を保つことがいかに困難になってしまったのかを描き、情報や報道を見極め、有権者一人一人が正しい選択を行う重要性を伝えている。
10月半ばから米国のHulu他で配信されている『Totally Under Control(原題)』は、2020年の世界を震撼させ続けている新型コロナウイルスのパンデミックに対するアメリカ政府の失策を追ったドキュメンタリー。北米配給会社のNEONは、10月29日より投票日翌日の11月4日まで米国内にて無料公開している。
TOTALLY UNDER CONTROL is now available to watch for FREE at https://t.co/nQobBew3IQ thru November 4.
Filmed in secrecy over 5 months to expose the lies & deceit of @realDonaldTrump's response to COVID-19, it is "a cinematic indictment." @latimes
Please watch, share, and vote. pic.twitter.com/qF1comdmE6
— NEON (@neonrated) October 29, 2020
2020年の大統領選の争点の一つである現政権のパンデミック対策を時系列で追うとともに、10月1日深夜に自身のTwitterでコロナウイルス陽性を世界的に公表したトランプ大統領と、警鐘を鳴らし続けた科学者たちの応酬をドキュメンタリーにした。タイトルの「Totally Under Control(全て管理下にある)」とは、トランプ大統領がアメリカの感染状況について述べた言葉で、世界で最も多くの感染者・死者を出しているアメリカが管理下にあったことなどなかったと皮肉っている。
リベラル勢力が強いハリウッドやエンタメ業界ではトランプ支持を表明する著名人は少ない。ちなみに、同じように一般社会でも世間体を気にしトランプ支持を声高に宣言する状況にないという考察があり、そのせいで世論調査にトランプ支持が現れにくいとも言われている。少ないながらも、俳優でアンジェリーナ・ジョリーの実父のジョン・ヴォイト、ラッパーのリル・ウエイン、50セントやアイス・キューブ、ミュージシャンのキッド・ロックなどが支援を表明している。ヴォイトはTwitterに、「バイデンは邪悪だ」と発言するビデオをアップしている。
Evil pic.twitter.com/P99gvy6lZL
— Jon Voight (@jonvoight) October 16, 2020
リル・ウェインもトランプ大統領とのツーショットをアップし、対話を持ったことを約3500万人のフォロワーに発信した。
Just had a great meeting with @realdonaldtrump @potus besides what he’s done so far with criminal reform, the platinum plan is going to give the community real ownership. He listened to what we had to say today and assured he will and can get it done. 🤙🏾 pic.twitter.com/Q9c5k1yMWf
— Lil Wayne WEEZY F (@LilTunechi) October 29, 2020
トランプ陣営は、2016年の選挙で黒人有権者票が少なかったこと、オバマ前大統領に投票していた黒人支持者層がバイデン候補に投票することを見越し、黒人コミュニティの雇用創出や格差解消などを支援する「プラチナ・プラン」を政策に盛り込んでいる。共和党関係者はこの政策を、「黒人有権者を共和党支持に鞍替えさせるのではなく、もともと共和党員だった黒人有権者を元どおりにするだけだ」と語っている。