仲野太賀が2020年引っ張りだこの理由 『恋あた』などで視聴者を引き込む“溜め”の演技

仲野太賀が2020年引っ張りだこの理由 『恋あた』などで視聴者を引き込む“溜め”の演技

 現在放送中の『恋あた』では、森七菜演じるヒロインの樹木とともにコンビニスーツ開発に取り組む試作担当の新谷役を演じる。新谷という役どころもまた、コンビニ社長で地元の先輩・浅羽(中村倫也)にただただ忠実な後輩という訳でもなく、また社員の中でもずっと調理室にいる元・パティシエ志望者だったりと、周囲とは馴染めているようで少し違った立ち位置だ。

 ここでも、前述の仲野の「溜め」の演技がモノを言わせていた。SNSなどでも話題騒然の、かの有名な壁ドンからの「再起動」シーンだ。それまで、樹木側もまた我々視聴者も新谷に“男性性”を感じるタイミングはなかったが(頼れるお兄さんポジションだった)、ここに来て一気に引き込んでくる、これが仲野太賀の油断ならないところだ。通常、恋愛もので報われない想いをする側というのは徐々に徐々に相手と距離を縮めるも最後に成就しないというパターンが多いが、今回の新谷には仲野特有のどこかで一気に距離を詰め、自分の気持ちを投げかけてくるポイントがあるのではないかとつい期待してしまう。

 温度感が高い訳でもなく、テンポが良い訳でもない“誰もにとってのなんてことない日常”、あるいは“じっとりとした後味の悪くつきまとう過去の記憶と共に、それでも淡々と生きるしかない日常”を飽きさせずに魅せられる仲野が、比較的わかりやすく起承転結が用意されており、色んなアクシデントに見舞われる「恋愛ものの連ドラ」に加わると、これまでの“胸キュン”ポイントとはまた一味違う名シーンが生まれるのだろう。さらに今までの作品では、何か厄介に“巻き込まれる側”だった仲野が、本作では“巻き込む側”で“行動を起こす側”に回っているのも新鮮味がある。

 「生モノ」の感情を捉える彼自身には「旬」などなく、きっとこのままどんどん自身を更新し拡張していくのだろう。今から「もっと歳を重ねた後の演技」も楽しみだと思わせてくれる非常に稀有な存在だと心底思う。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
『この恋あたためますか』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:森七菜、中村倫也、仲野太賀、石橋静河、飯塚悟志(東京03)、古川琴音、佐藤貴史、長村航希、中田クルミ、佐野ひなこ、利重剛、市川実日子、山本耕史
脚本:神森万里江、青塚美穂
プロデュース:中井芳彦
演出:岡本伸吾、坪井敏雄
主題歌:SEKAI NO OWARI「silent」(ユニバーサルミュージック)
製作著作:TBS
(c)TBS

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