古川琴音が『エール』で見せた、とまどいや素直な気持ち 思春期の女の子の繊細さを表現

古川琴音が『エール』で見せた、とまどいや素直な気持ち 思春期の女の子の繊細さを表現

 声楽講師のベルトーマス(広岡由里子)に勧められたオペラのオーディションが近づき、音(二階堂ふみ)は必死に練習を重ねていた。NHKの連続テレビ小説『エール』が第21週の初日を迎え、母や思いを寄せる人に複雑な思いを抱く娘・華(古川琴音)の表情が印象的な回となった。

 古川の表情でまず惹きつけられたのは、レッスンを終え、自宅に戻った音が、家事を手伝う華に「ありがとう。あとはお母さんがやるから」と引き継ぐシーンだ。音は決して乱暴に華を押しやったつもりではないはずだが、華はやや強引にその場から引き離される。古川はその時、数回戸惑ったように音を見るのだが、そのこまやかな演技から、吟(松井玲奈)との会話で口にしていた「私、頼りにされてないってことだよね」という彼女の複雑な心境が十分に伝わってくる。

 古川は、高校球児の竹中渉(伊藤あさひ)に思いを寄せる華の感情も繊細に表現している。吟に「例の野球少年とはどうなったの?」と問われた華は、少し口をとがらせながら「別に。向こうはこっちのこと友達としか思ってないし」と答える。だが、喫茶バンブーに渉を誘った華は、恥ずかしそうにしながらも彼を笑顔で見つめていた。伯母との会話で見せたつれない表情と、彼を前にすると素直な気持ちが溢れてしまう姿は、まさに思春期の女の子だ。

 華の父が裕一(窪田正孝)だと知った渉が「華さんのお父さんはすごい方だったんだね。お目にかかってみたいな」と目を輝かせた時、華が考え込むように視線を落として笑うのが切ない。裕一と対面する渉の横でも、彼女は視線を下に向けている。渉が喜ぶ姿を見るのは嬉しいが、自分ではなく父・裕一を見ていることが少し心苦しい、そんな彼女の思いが伝わってくる。ただ、感極まった渉が「華さん、ありがとう!」と華の手を握った時、驚きながらも「ううん」と首を振る華の顔はとても幸せそうだった。

 1回15分の短い物語の中で、いくつもの魅力的な表情を見せた古川。明日以降も、彼女が演じる華の繊細な心情に注目したい。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)~11月28日(土)予定(全120回)
※9月14日(月)より放送再開
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、中村蒼、山崎育三郎、森七菜、岡部大、薬師丸ひろ子ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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