中村アン、堀田真由らが物語をけん引 『危険なビーナス』妻夫木聡と7人の女優たち

『危険なビーナス』妻夫木聡と7人の女優たち

 元美もシロということで、残る有力な候補は祥子の娘の百合華。百合華は、明人とは従兄弟どうしで、勇磨(ディーン・フジオカ)によれば、ブックデザイナーの百合華は明人に恋心を抱いていた。勇磨のとりなしで、伯朗と楓は、百合華の友人の春乃(大和田南那)と恵麻(中村里帆)から話を聞くことに。明人に対する本音を聞いて「女性不信になりそう」とため息をつき、「この目で見て、直接話せばなんとかなるよ」と主張する伯朗。回を追うごとに伯朗がのび太と重なってくる。

 おなじみになりつつある伯朗の妄想シーン。1・2話で楓と元美に発動していたが、第3話では不発(軽くあしわられる)。今回はないと思わせたところで、「わかっちゃいました? 私が犯人だって」と百合華がグサリ。意識が遠のく伯朗を元美が抱きかかえる。「起きるはずがない、とはかぎらない。だが……」と現実に戻るところまでが1セット。愛憎渦巻くサスペンスに突如降臨するゆるーい時間に、最初はどう受け止めればいいか戸惑ったが、良い意味でドロドロ感を緩和しているようだ。もしかすると、視聴者を油断させるトリックかもしれないが……。

 第1話で楓を閉じ込めるよう仕向けたのは、嫉妬に駆られた百合華の所行だったが、楓を突き落としたのは百合華ではなかった。楓、元美、波恵、祥子、杏梨、百合華と来て、伏兵“第7の女”が姿を現す。ドラマオリジナルのエピソードを容赦なく投入する脚本の黒岩勉。縦横無尽に伏線を敷きながら、ラストで「母が行方不明なんです」(百合華)と予測不能の展開に導く筆さばきに、さすがプロの仕事と感嘆した。楓を見て「あざとい女」「僕のほうがうまい」と悦に浸っている伯朗は、ぜひ氏を見習ってほしい。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
日曜劇場『危険なビーナス』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:妻夫木聡、吉高由里子、ディーン・フジオカ、染谷将太、中村アン、堀田真由、結木滉星、福田麻貴(3時のヒロイン)、R-指定(Creepy Nuts)、麻生祐未、坂井真紀、安蘭けい、田口浩正、池内万作、栗原英雄、斉藤由貴、戸田恵子、小日向文世
原作:東野圭吾『危険なビーナス』(講談社文庫)
脚本:黒岩勉
プロデューサー:橋本芙美(共同テレビ)、高丸雅隆(共同テレビ)、久松大地(共同テレビ)
演出:佐藤祐市、河野圭太
製作:共同テレビ、TBS
(c)TBS

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