永作博美、井浦新、蒔田彩珠の息を呑む名演 『朝が来る』が届けるすべての人への希望

『朝が来る』が届けるすべての人への希望

 一方、覚悟を持って栗原夫婦に子供をお願いするのが、14歳の片倉ひかり。ひかりのパートでは、彼女がどんな家族と暮らし、どんな恋をして妊娠にいたり、栗原家に子供をお願いした後にどんな生活を送ったのかが描かれていく。期待と希望しかない心を映したかのようなキラキラした画面から、ひかりの物語は進むに連れてくすんだ彩りへ。朝斗という希望そのものを得て、輝く未来を得た栗原夫婦と、どん底に堕ちていってしまうひかり。そして、2人の“お母さん”を持つ朝斗。それぞれの視線が重なり、最後に物語は重なっていく。

 ラストカット、彼らを包み込む朝の光がすべての闇を照らす。どうして、なぜあんなことをしてしまったのかと自分の行動を悔やむこともあれば、過去の自分自身の行動に救われることもある。一度きりの人生をどうやって生きていくか、誰と生きていくか。現在放送中の朝ドラ『エール』(NHK総合)でも、「どん底に堕ちたところから希望は生まれる」というメッセージが描かれていたが、本作もまた、どんな人にも希望は訪れることを教えてくれる。

※河瀬直美の「瀬」は旧字体が正式表記

■公開情報
『朝が来る』
全国公開中
出演:永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子、中島ひろ子、平原テツ、駒井蓮、田中偉登、佐藤令旺、山下リオ、森田想、堀内正美、山本浩司、三浦誠己、池津祥子、若葉竜也、青木崇高、利重剛
監督・脚本:河瀬直美
共同脚本:高橋泉
原作:辻村深月『朝が来る』(文春文庫)
制作・配給:キノフィルムズ(木下グループ)
(c)『朝が来る』Film Partners
公式サイト:asagakuru-movie.jp

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