『35歳の少女』坂口健太郎、“10歳”の柴咲コウに寄り添う優しさ タイトルバックの変化にも注目

『35歳の少女』タイトルバックにも変化が

 柴咲コウが主演を務めるドラマ『35歳の少女』(日本テレビ系)が10月17日に第2話を迎えた。

 第2話のストーリーの軸となるのは、25年前に望美(柴咲コウ)が不慮の事故に遭った過去からの脱却。望美だけでなく、お使いに行かなかった妹の愛美(橋本愛)、自転車のブレーキを直さなかった父の進次(田中哲司)、豆腐を買い忘れた母の多恵(鈴木保奈美)も過去のトラウマから逃れられずに日々をもがいていた。

 そんな家族に望美は、25年前のあの日、自転車に乗れるようになったのが嬉しくてわざと急斜面の坂道に寄り道していたことを明かす。誰も悪くない。自分だけが不公平だと思わない。それが望美が出した答えだった。25年ぶりに食べる豆腐一丁は、流れる涙で少ししょっぱくとも、望美たちにとっては、すき焼きに勝るごちそうに変わる。再び食卓を囲む家族に望美は「私、成長するね」と宣言し、第2話は幕を降ろす。

 ラストにタイトルバックが柴咲コウの顔に覆い被さるのは第1話と同じ。けれど、絶望を見せつけられ無表情だった前回から、第2話では希望に満ちた笑顔に変わっている。第1話放送後、反響を呼んだ大泣きの演技を筆頭に精神年齢10歳の少女を演じている時点で、柴咲の演技は凄みを感じさせるが、この成長の変化もまた今後注目していくべきポイントである。

 そして、望美が「成長するね」と笑顔で宣言するきっかけとなったのは、初恋の相手・結人(坂口健太郎)の存在があったからだ。「寝たまんまの方がよかったんじゃねぇの」と25年で変わり果てた現実を望美に突きつけた結人。この四半世紀で社会情勢とともに、人との接し方もSNSの発達によって変化していた。結人の助けもあり、望美は25年前の親友と再会するが、そこには昔の面影もなく、夢も忘れ去った友人の姿。

 さらに、望美に追い打ちをかけるのがSNSへの書き込み。友人が望美との写真と一緒に綴ったのは「25年間眠ってた彼女は、今、リアル浦島太郎状態。本当にかわいそう。私だったら生きていけない。」という酷な内容だった。「表じゃ人見を気にして言いたいことも言わないくせに、裏じゃこういうもんを使って人の不幸を笑ったりしてんだよ」。結人が代弁するその一言は、第1話同様に脚本を務める遊川和彦のメッセージが滲み出るシーンである。

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