薬師丸ひろ子、徳永えりの涙が突き刺さる 『エール』それぞれの「会いたい」が哀しく響く

『エール』「会いたい」が哀しく響く

 最後に、今後裕一の人生を大きく変える劇作家で作詞家の池田二郎(北村有起哉)が登場した。戦争で親を失い行き場をなくした子供たちの現状を訴えるため、彼はNHKに戦争孤児を主題としたラジオドラマの制作を提案する。しかし、「今はみんな戦争を忘れたい」という理由から企画を却下され、池田は一旦別のラジオドラマを制作することに。のちに彼は裕一にラジオドラマの音楽を依頼するのだが、それは次週「鐘よ響け」で描かれる。

 第18週「戦場の歌」。今週は『エール』史上、最も重苦しい展開が視聴者を待ち受けていた。第89話放送後の『あさイチ』では、博多大吉が「朝からリアルすぎないかという声も多少あったみたいですけれど、でも実際にはもっと悲惨なわけですからね」と語っていた。賛否が分かれることは覚悟の上で、戦争を知らない私たちに戦時下の様子を伝えてくれたことに感謝したい。それでも最後は、池田とNHK局員・初田功(持田将史)の「嘘じゃないな?」「NHKですよ! 嘘はつきません」「NHKだもんね」というやり取りにホッとして、顔が綻んだのは言うまでもない。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜11月28日(土)予定(全120回)
※9月14日(月)より放送再開
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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