『半沢直樹』が“あるべき未来”に向けて遺した名ゼリフ 仕事や社会に向き合う視聴者の活力に

未来に向けて『半沢直樹』が遺した名ゼリフ

「ゴミ扱いしているのではありません。ゴミだと申し上げているのです」
半沢直樹

 役員会で半沢が激昂する伊佐山に一撃をくらわした言葉。ストレート過ぎる表現を使うのは、自分が積み重ねてきた仕事に自信があるから。伊佐山の「ゴーミーじゃないー!」という断末魔の叫びも忘れ難い。

「大企業にいるから、いい仕事ができるわけじゃない。どんな会社にいても、どんな仕事をしていても、自分の仕事にプライドを持って、日々奮闘し、達成感を得ている人を本当の勝ち組と言うんじゃないかと、俺は思う」
半沢直樹

 東京セントラル証券を去る半沢が部下たちに贈った言葉。「勝ち組、負け組」という言葉が大嫌いだと言う半沢は、充実感、達成感を持って働いている者こそ真の勝ち組だと言う。プロパーだからといって銀行出向組にコンプレックスを感じる必要はない。プライドを持って精一杯働いてほしい、という半沢からのエールだ。

「君たちの戦いは、この世界をきっとより良くしてくれるはずだ。どうかこれからは、胸を張って、プライドを持って、お客様のために働いてほしい」
半沢直樹

 ここで言う「君たち」とは、半沢より年下の20代から40代は就職氷河期から長く続く不況で苦しんだ世代を指す。世の中を腐らせたバブル世代のツケを払わされる彼らが戦わなければ、世の中は良くなっていくことはない。現状維持で満足していれば、世の中はより悪いほうに進んでいく。

「倒産する会社は、社外の人に挨拶をしなくなっていく。会社に対する自信と誇りがなくなるからだ」
半沢直樹

 「倒産寸前の会社では、大企業でも大阪の小さな町工場でも同じ現象が起きる」とも。自分の会社はどうなのか、一度チェックしてみよう。

「みなさんに生きる意志があるのなら、私は全身全霊でお支えいたします」
半沢直樹

 半沢のモットーの一つが「全身全霊」。顧客が自分で生きようという意志を見せてくれれば、どんなことをしてでもそれを支えてみせるという決意表明だ。

「それ以上、近づかないでいただきたい。あなたからは腐った肉の臭いがする」
半沢直樹

 私腹を肥やし続ける小悪党・永田(山西惇)に対する痛烈な一言。より良い社会、より良い未来を想像することなく、目先の利益に固執し、それを自分の懐に入れ続ける者を半沢は誰よりも憎む。

「銀行、沈・ヴォツ!」
大和田暁

 東京中央銀行は帝国航空再建をめぐって白井国交相(江口のりこ)を敵に回し、黒崎(片岡愛之助)による金融庁検査も行われた。大和田はいつも銀行全体のことを考えている。これが彼なりの「恩返し」なのだ。

「それでも私は諦めません。人の暮らしを豊かにする。そのお手伝いをするのが我々金融業の使命のはず。私は最後まで自分の仕事を全うしてみせます」
森山雅弘(賀来賢人)

 スカイホープ航空の担当営業となった森山が、開発投資銀行の谷川(西田尚美)に投げかけた言葉。彼がいかに半沢から大きな影響を受けたかがわかる。

「開発投資銀行はタスクフォースの債権放棄の要請に対して、見送りの決断を下しました」
谷川幸代(西田尚美)

債権放棄を迫る白井国交相やタスクフォースの乃原(筒井道隆)らの前で、堂々と言い切った谷川の決断には、半沢らだけでなく、視聴者も喝采を送った。政府の意向、つまり権力には逆らえないと言いつつも、債権放棄を決断したのは帝国航空のより良い未来を考えたから。その前に独自の判断で「バンカーとしてのプライド」を発揮した白水銀行の水野(松嶋亮太)と大東京銀行の柴田(安藤彰則)も良かった。

「大臣、あなたは現場の人間をネジだとおっしゃいましたね。たしかに一つひとつのネジは小さく非力ですが、間違った力に対しては精一杯、命がけで抵抗します」
半沢直樹

 半沢に「現場はネジと同じ」と傲岸不遜に言い放った白井国交相だが、機械の中のネジは間違った力が加えられると大きな力で抵抗する。ネジにはネジの意地がある。

「おっ……おっ……おね、しゃす……」
大和田暁

 第8話では、ついに半沢と大和田が手を組むことになる。半沢から「人のものを頼むときに言う大事な7文字」を言うように求められた大和田が、ものすごく言いたくなさそうに言った一言が話題を呼んだ。しかし、半沢は「2文字足りない」とピシャリ。このやりとりも現場のアドリブから生まれたものだと香川照之が明かしていた。

「過去を正してこそ、未来は正しく開かれる。私は徹底的にやらせてもらいます」
半沢直樹

 過去の不正を徹底的に隠蔽してきた常務の紀本(段田安則)を追い詰めていくときに発した言葉。「隠蔽は隠蔽を生む。その原因は組織の体質にある」とも。過去のことは水に流したがる、あるいはなかったことにして隠したがる日本人にとって、耳の痛い言葉だろう。

「あなたのことなんて大っ嫌い! だから最後まで、私が大っ嫌いなあなたでいてちょうだい、半沢次長」
黒崎駿一(片岡愛之助)

 箕部幹事長(柄本明)の身辺調査を進めていたことが露見し、金融庁から国税庁への異動を余儀なくされた黒崎。半沢とは対立していたが、不正を憎む同士で通じ合う部分があった。最後に黒崎は半沢にヒントを与え、半沢も敬意を込めたお辞儀で見送ったが、すぐに再登場した。

「俺はね、お前のような男こそ、人の上に立つべきだと思ってるの。銀行のトップに行くべきだって。だからこそ、危ない橋も渡ってきた。そこんとこ、みくびらないでもらえます?」
渡真利忍(及川光博)

 半沢に献身的なサポートを続けてきた親友の渡真利。半沢に「迷惑はかけない」と言われると「嫌だ」と返す。半沢を銀行のトップに立つ器だと考えたのは中野渡頭取と同じ。渡真利の熱い友情とともに、人を見る目の確かさがわかる言葉だった。

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