『半沢直樹』が“あるべき未来”に向けて遺した名ゼリフ 仕事や社会に向き合う視聴者の活力に

『半沢直樹』が“あるべき未来”に向けて遺した名ゼリフ 仕事や社会に向き合う視聴者の活力に

 『半沢直樹』(TBS系)の人気の理由として、勧善懲悪の爽快さ、迫力のある演技合戦などがよく挙げられるが、数々の名ゼリフも印象深い。

 『半沢直樹』の名ゼリフは、大きく分けて2種類ある。ひとつは、ついつい真似したくなるようなキャッチーなもの。もうひとつは、主人公の半沢直樹(堺雅人)が仕事に対する姿勢やあるべき社会、あるべき未来について語っているものだ。前者がSNSなどでバズを起こす一方、後者がしっかりと視聴者の心を掴み、仕事や社会に向き合う活力となったと思われる。

 それでは、あらためて『半沢直樹』の名ゼリフを振り返ってみたい。

「施されたら、施し返す。恩返しです!」
大和田暁(香川照之)

 第1話で半沢直樹の永遠のライバル、大和田暁が言い放ったもの。半沢の決めゼリフ「やられたら、やり返す。倍返しだ!」をもじったものだが、この時点で大和田の本心はまったく読めなかった。最終回では彼のこの言葉が嘘偽りのなかったものだとわかる。

「会社の都合を顧客に押し付けるな。顧客のために、あらゆる可能性を検討しろと言っているんだ」
半沢直樹(堺雅人)

 半沢のビジネスのポリシーは、中野渡頭取(北大路欣也)から受け継いだ顧客第一主義。「儲かりさえすれば何をやっても勝ち」という昨今の社会の風潮に真っ向から逆らうものだ。半沢のこの姿勢は最後まで貫かれた。

「人を刺すときは、準備は念入りに。仕留めるのは一瞬で」
三笠洋一郎(古田新太)

大和田を裏切った伊佐山(市川猿之助)から相談を受けた副頭取の三笠が語った言葉。こうやって人を陥れる手管を偉そうに語っている人は、だいたいしっぺ返しを食らう。

「俺たちの仕事は、人や会社の成長を願い、その手助けをすることだ。証券も、いや、どんな仕事も目指すところは同じはずだ。そこに勝ちも負けもない」
半沢直樹

 半沢の職業人としての姿勢の根本にあるのは、町工場で懸命に働く父(笑福亭鶴瓶)の姿と彼を支えていた周囲の人々の姿なのだろう。「人と人とのつながりを大切に」と語っていた父の言葉を胸に、半沢はバンカーとして社会で働く人や会社を助けようとし続ける。

「大事なのはどこで働くかじゃない。どう働くかだ」
半沢直樹

 どんな場所へ出向を命じられても、半沢は腐ることなく顧客のために働く。だから、「人事が怖くてサラリーマンができるか!」と啖呵を切ることだってできる。所属している組織の大小で仕事の価値が決まるわけではない。仕事の結果で価値は決まる。当然のことだ。

「株を買うっていうのは、その会社を応援することでもあるんだ。株の値段には金額だけでは表せない人の思いってものが詰まってる。儲かるかどうかじゃなくて、好きになれるかどうかで選んだほうがいいよ。ラブレターを贈りたくなるような会社をね」
半沢直樹

株について尋ねた妻の花(上戸彩)への言葉。投資家としても知られるキャイ~ンの天野ひろゆきもインタビューで似たようなことを言っていた。

「君はもう、おしまいです。お・し・ま・い・DEATH!」
大和田暁

 真似をする人が続出した大和田の新たな決めゼリフ。生放送『半沢直樹の恩返し』で台本にはない香川照之によるアドリブだったと明らかにされた。

「詫びろー! 詫びろ、詫びろ、詫びろ、詫びろ、詫びろ、詫びろ半沢ああああ!」
伊佐山泰二(市川猿之助)

 これぞパワハラの極地。前半を引っ張った悪のバンカー、伊佐山が半沢に迫った言葉。結局、伊佐山が半沢に詫びることになった。

「今だけではない、未来を見据えるんだ」
半沢直樹

 『半沢直樹』の大ファンの松村邦洋さんが指摘したとおり、今回のシリーズでは「未来」という言葉がとにかくたくさん使われた。これは半沢から部下の森山へのアドバイス。今の利益だけを追うのではなく、多くの人が幸せになる未来のビジョンが大切だと説いている。

「大事なのは、感謝と恩返しだ。その二つを忘れた未来は、ただの独り善がりの絵空事だ。これまでの出会いと出来事に感謝をし、その恩返しのつもりで仕事をする。そうすれば必ず明るい未来が拓けるはずだ。成功を祈る」
半沢直樹

 第3話から第4話にかけては東京セントラル証券の部下、森山(賀来賢人)に語りかける「上司・半沢直樹」の場面が多かった。これもその一つ。「感謝と恩返し」というフレーズは最終回のエンドクレジットの後にも流された。

「一つ、正しいことを正しいといえること。一つ、組織の常識と世間の常識が一致していること。一つ、ひたむきで誠実に働いた者がきちんと評価されること」
半沢直樹

 半沢が森山に披露した「組織や世の中はこういうものだという強い思い」がこの三つ。どれも当たり前のことだが、その当たり前が今の組織はできていない。だから半沢は戦うことになる。

「仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。その大原則を忘れたとき、人は自分のためだけに仕事をするようになる。自分のためにした仕事は、内向きで、卑屈で、醜く歪んでいく」
半沢直樹

 他人を踏みつけ、自分や身内だけ利益を得ようとする仕事は、歪な構造の組織を生み、やがて腐っていく。「組織が腐れば、世の中も腐る」と半沢が言うように、腐った組織が増えれば世の中全体によどんだ空気が蔓延することになる。なんだか政治の話のようだな、と思っていたら、後半は本当にそういう話になった。

「死んでも嫌だね! 帰りなさい! 負け犬・半沢直樹君!」
大和田暁

 半沢からの協力依頼をフルスイングで断る大和田。その小学生レベルの語彙力が話題を呼んだ。それでも、すかさず戻ってきた大和田の判断のスピードが素晴らしい。

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