『エマ、愛の罠』のヒロインは「火のような存在で危険」!? パブロ・ラライン監督が語る
本日10月2日より公開が始まった『エマ、愛の罠』。監督を務めたパブロ・ララインのコメントが到着した。
本作は、『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』のラライン監督最新作。若く美しいダンサーのエマはある悲しい事件によって打ちのめされ、振付師の夫ガストンとの結婚生活が破綻してしまう。家庭も仕事も失い、絶望のどん底に突き落とされたエマは、ある思惑を秘めて中年の女性弁護士ラケルと親密な関係になっていく。さらに、ラケルの夫で消防士のアニバルを誘惑したエマは、彼女への未練を引きずる別居中のガストンまでも挑発し始める。3人の男女をことごとく手玉に取り、妖しい魅力で虜にしていくエマの真意は何なのか。その不可解なまでに奔放な行動の裏には、ある驚くべき秘密が隠されていた。
主人公・エマを、会って10分後に監督から主演をオファーさせたジローラモが演じる。そして、エマの夫・ガストンを、『天国の口、終りの楽園。』でヴェネチア国際映画祭の新人俳優賞を受賞し、その後も『モーターサイクル・ダイアリーズ』『バッド・エデュケーション』『バベル』などの話題作に出演し続けるガエル・ガルシア・ベルナルが演じている。
本作の主人公・エマは、これまでの価値観を覆す新時代のヒロインとして描かれている。神秘的でミステリアスな容貌、固定観念にとらわれない大胆不敵にして綿密な行動力、そしてその外見からはうかがえ知れない強靱な意志と激しい情熱。まるで獲物を狙う動物かのごとく、自分の目的のためにあらゆる手段を用いて、遂行していく。
そんなエマを演じたジローラモについて、ラライン監督は、「エマは火のような存在で危険なんだ。まるで太陽のように彼女は人を惹きつけ、優しく照らしてくれるけど、近づき過ぎると燃えるように熱くヤケドをしてしまう。近づきたいと思うのと同時に遠く離れたいとも感じる女性なんです」と語る。さらに、「エマはパラダイム。彼女はさまざまなキャラクターを体現しているんだ。娘、母、姉、妻、恋人、そしてリーダーであり、とてもパワフルでハッとするような美しい女性らしさを備えている。徹底した個人主義で、自分が何を望んでいるかを明確に知り、周りの人々を巻き込んで自分の運命を変えることができます。母親になりたい、家族を持ちたいと思っていて、おそらくエマを最も強く突き動かしているものは愛でしょう」と、エマという新たな女性像を述べた。
ラライン監督が結末について明かしたのは、実は三つのエンディングが用意されていたこと。「チリは保守的だし、多くはカトリック教徒。けれど家族っていうのはいろいろな形があってもいいわけで、実際にはある。だけど中々表に出てこないだけで、ということもあって、アジアでも、ヨーロッパでも、いろんなところでいろんな家族の形が存在しているのに、それが表に出てこない。みんな理想とする家族を追おうとして苦しむんです。でも家族というものは、これでいいんじゃないかと思って、この結末を選びました。家族の可能性をどのエンディングが最も打ち出せるのか、一番愛があるのか、という点で、劇中の結末を採用したんだ」というラライン監督の言葉から、彼女の大胆不敵な行動の目的が明かされるエンディングに、さまざまな捉え方が出てくるだろうと予測される。
■公開情報
『エマ、愛の罠』
シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町、kino cinema立川高島屋S.C.館ほかにて公開中
監督:パブロ・ラライン
出演:マリアーナ・ディ・ジローラモ、ガエル・ガルシア・ベルナル、パオラ・ジャンニーニ、サンティアゴ・カブレラ、クリスティアン・スアレス
配給:シンカ
提供:シンカ/ハピネット
後援:チリ大使館/インスティトゥト・セルバンテス東京
2019年/チリ/スペイン語/107分/カラー/シネスコ/5.1ch/原題:Ema/ R15+
(c)Fabula, Santiago de Chile, 2019
(c)Pablo Larrain
公式サイト:http://synca.jp/ema