『エマ、愛の罠』マリアーナ・ディ・ジローラモが日本愛を語る メッセージ動画&インタビュー公開

『エマ、愛の罠』主演女優が語る

 10月2日に公開される映画『エマ、愛の罠』より、主演のマリア―ナ・ディ・ジローラモのメッセージ動画とインタビューが公開された。

 本作は、『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』のパブロ・ラライン監督最新作。若く美しいダンサーのエマはある悲しい事件によって打ちのめされ、振付師の夫ガストンとの結婚生活が破綻してしまう。家庭も仕事も失い、絶望のどん底に突き落とされたエマは、ある思惑を秘めて中年の女性弁護士ラケルと親密な関係になっていく。さらに、ラケルの夫で消防士のアニバルを誘惑したエマは、彼女への未練を引きずる別居中のガストンまでも挑発し始める。3人の男女をことごとく手玉に取り、妖しい魅力で虜にしていくエマの真意は何なのか。その不可解なまでに奔放な行動の裏には、ある驚くべき秘密が隠されていた。

 主人公・エマを、会って10分後に監督から主演をオファーさせたジローラモが演じる。そして、エマの夫・ガストンを、『天国の口、終りの楽園。』でヴェネチア国際映画祭の新人俳優賞を受賞し、その後も『モーターサイクル・ダイアリーズ』『バッド・エデュケーション』『バベル』などの話題作に出演し続けるガエル・ガルシア・ベルナルが演じている。

映画『エマ、愛の罠』主演 マリアーナ・ディ・ジローラモのメッセージ動画

 公開されたメッセージ動画では、ジローラモが観客への健康と無事を願うとともに、本作の魅力を語っている。

 本作が初の主演となったジローラモ。実は、日本のカルチャー好きとしても知られている。直近では、新型コロナウイルス感染拡大前の1月に、長年日本に滞在するチリ出身の友人を訪ね、彼女のガイドで典型的な観光スポット以外の場所を知ることができたという。「尊敬」と「沈黙」の日本文化が大好きというジローラモ。

 インタビューでは、黒澤明や宮崎駿、北野武の映画も好み、お気に入りの作品として、スタジオジブリの『天空の城ラピュタ』『紅の豚』『となりのトトロ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』、北野作品である『その男、凶暴につき』『BROTHER』を挙げている。

マリアーナ・ディ・ジローラモ インタビュー

美容において気をつけていること

素材そのものが好きで、調理した料理が合わなったの。それから軽めの食事……サラダをたくさん食べて、果物をたくさん食べて、水をたくさん飲むようになった。一番の効果はアルコールをストップしたこと。なんでも食べるけど、常にバランスを保つように気を付けているわ。水分補給が基本。言葉通り水をたくさん飲みますが、肌の水分補給も大切にしていいる。私はいつもオーガニック製品と、新鮮なものを使っています。私の肌はとても敏感で、自分に合ったものが見付かるまで色々な製品を試したの。オレンジの花を入れた水を使って肌を潤すようにしている。自然派の化粧品を使うようにしているわ。オートミールスクラブという肌に負担の少ないものを愛用している。髪の毛にはアボカドなど様々なオイルを配合したものを愛用しているわね。

好きなファッション

特定の種類のファッションが好きなわけではないわ。ファッション全般が好きで、常に新しいものを探すことにとても興味がわくの。
ヴィンテージのトレンドには大抵満足しています。
また、日本ではアウトレット高級店を覗いて服に詳しくなったの! ヨウジ・ヤマモトやイッセイ・ミヤケはもちろん、ジョータ・ヘレスやマルティン・ルテッケ、ルペ・ガハルドのような現代のチリのデザイナーの作品も大好きです。もちろん、グッチ、ディオン・リー、バレンシアガ、イリス・ヴァン・ヘルペンなどの国際的なファッションブランドも楽しんでいます。
基本的に持ち物はあまり増やしたくないのですが、旅先で見つけたファッションの掘り出し物は大事にしています。

本作の出演の経緯

撮影中のある日、(監督の)パブロが連絡をくれて、彼が考えていたこの『エマ、愛の罠』のプロジェクトについて話してくれました。パブロの作品はすべて観てきましたし、尊敬しています。彼は素晴らしい監督です。この映画は他のプロジェクトによって状況が変わると言っていたので、「確かなことは分からないが、この映画には君が必要だ」と言ってくれたので、私は「はい!」と即座に応えました。パブロが彼女は自由な女性だと言っていたことと、髪を切らなければならないと言っていたことを除けば、私は役についてあまり知らなかったのです。役の話をした時には、パブロは他のプロジェクトにもいくつか関わっていたので、この映画が実現することは保証されていました。それから1カ月半後に彼から電話があり、「そうだ、映画の企画は進行中だから君が主人公になるんだ」と言われました。まずはダンスの練習から始め、約束を守って髪を切りました。パブロと一緒に仕事ができるなんて夢のようでした。まるでおとぎ話のように。だから私はすぐにトレーニングとダンスから始めました。エマがダンサーですからね!

監督との出会い

彼がヴェネツィアでの映画祭で、私が演技をしているところを見たことがないと言ってました(笑)。彼はチリの全国紙に掲載されている私の写真を見て、「彼女は誰だ?」と思ったらしく、直接お会いして、一緒にランチをしたんです。

ヘアースタイルについて

この件に関してパブロがどのような判断を下したのかはわからないけど、彼はエマのルックスがどのようなものになるのか、髪型やその色についてのアイデアを持っていたし、各国の映画祭で人々がこのヘアスタイルは何なのかとパブロに尋ねたとき、彼は「ポップカルチャー」と答えていたわ。

台本がない中での撮影

そうなんです。台本がなかったんですよ。髪を染めたり、服を着たり、着こなしたり、ダンスをしたりして、セットの中で彼女のアイデンティティや他のキャラクターとの関わり方を探っていきました。つまり、私を含む多くのキャストたちと演じている瞬間に起こる化学反応によって、パブロは次の手を考えていたんだと思います。

台本がない中での困難はなかったのか

最初はね。私は以前ソープオペラにも出演していましたが、ソープオペラでは、自分がどこから来て、どこに向かっているのかを知ることがとても重要でした。でも、もうそんなことはどうでもよくなった。パブロが「エマがどこから来たのか、父親が誰なのかなんてどうでもいい」といった言葉で、最初はとても怖く感じましたが、最後にはとても解放されました。パブロは素晴らしい監督です。
誓いのような感じだったのかも知れません。監督は私にこんなにもすばらしいチャンスを与えてくれたし、一緒に仕事をするのは初めてだったから、私がどうやってパフォーマンスをするのか知らなかったけれど、彼が私の中に何かを見出したことには気づいていました。 彼は非常に優れた直感を持っていると思いますし、非常に明確で、別のエマではなく、私が演じるエマしかイメージしていないと言っていました。だから、私たちはたくさん “対話”をしたんです。ダンス、音楽、チリという国のことなどについて話しました。私は彼に何かを証明しなければならないと感じたことはありませんでした。彼は私が今まで知らなかったことを教えてくれました。彼は自分が初心者と仕事をしていることを知っていて、私が映画の経験がないことを知っていたので、すべてが有機的でした。

監督との仕事を経て

パブロは私にたくさんのことを教えてくれました。映画の世界に入ったのはこれが初めてだったので、ステディカムやドリーショットの撮影など、技術的なことは何もわかりませんでした。また、台本がなく、個別のシーンを撮影する時は、今この瞬間に集中しなければなりませんでした。そのような世界で仕事をするのは初めての経験だったんです。おそらく、すべての監督が彼のように仕事を進めるわけではないと思いますが。私が提供できるものに対してパブロはいつもオープンでした。

ガエル・ガルシア・ベルナルとの共演

とても緊張しました。彼は『アモーレス・ペロス』や『天国の口、終りの楽園。』などの作品に出演している俳優です。私は彼をとても尊敬しています。映画に入る前に食事をしないかと誘われました。とても緊張していたのですが、その場を和ませてくれて、何でも話し合えることはとても良いアイデアでした。彼は俳優としてのみならず、人としてもとても寛大です。彼から多くのこと、仕事への取り組み方や情熱などを学びました。彼が映画の仕事に関わり始めたのは若干18歳の時だったと思います。

自身とエマの共通点

ダンスへの情熱だけでしょうか(笑)。 情熱という言葉が正しいかどうかはわかりませんが、私も本当にダンスが好きなんです。エマはフィクションの人物ですが、特にバルパライソの街中の至るところでエマの一部を見つけることができます。この作品に関わったことで、これまで以上に、この映画は今を生きる私たちの世代やチリの新しい秩序について語っていると思います。私たちは大きな危機の真っ只中にいるのかも知れませんね。

プライベートでのダンス

踊るのは好きですよ。掃除をしながら踊ったりはしますが、レゲエトンのクラブには行きません。映画の中のガエルのキャラクターであるガストンのアンチ・レゲエトンのスピーチは、たぶん久しぶりに聞きました。トロント映画祭では、上映の途中から観客が拍手を始めたんですよ。その人たちはガストンがある世代のビジョンを代弁していると思っているのでしょうけど、私たちの世代はもっとこの音楽ジャンルと深く関係している。チリではレゲエトンが多くの成功を収めていますが、それはラテンアメリカ圏どこでも同じだと思います。

本作が伝えるチリの現状

これはフィクションですが、私たちの時代や今起きていることを正確に描写していると思います。この国には「ニニ」という概念がありますが、これは他のスペイン語圏の国にもあると思うのですが、働かず、勉強もせず、そのつもりもない若者のことを指します(スペイン語では「ni estudia nitrabaja」の略)。街頭でデモをしている人たちは「ニニ」だと言っている人が多いです。エマは「ニニ」ではありませんが、社会のシステムに嫌気がさしている若者たちには、何となく共感します。
映画の中でエマは、新しい雑草を育てるためには古い雑草を燃やさなければならないと言っています。全部燃やしたいようには見えないけれど、チリのサン・クリストバルやサンタ・ルチアのような場所は実際に燃やしたんですよね、完全にではないけど……。エマが「国民的英雄」であるアルトゥーロ・プラットの彫刻を燃やしたことがわかりやすいと思います。象徴的ですから。

ハリウッド進出への興味

アメリカのUTAと契約したばかりなんですが、彼らの拠点はロサンゼルスとニューヨークです。今はミーティングやオーディションを受けているので、あらゆる可能性を受け入れています。チリはアメリカやヨーロッパから離れているので、今の私にはベストではないかもしれませんが、チリやラテンアメリカで仕事を続けたいし、他のラテンアメリカの映画監督たちと仕事をする機会を持ちたいと思っています。メキシコでもいいかもしれません。どこか他の場所に移るかどうかに関わらず、私は自分の国、家族、友人(もちろんそれが私のサークルですが)から決して離れることなく、チリの問題に注視し続けていきたいと思います。

好きな日本映画や日本の監督

もちろん、黒澤明や宮崎駿など好きな監督は何人かいますよ。『天空の城ラピュタ』、『紅の豚』、『となりのトトロ』、『もののけ姫』、『千と千尋の神隠し』が好きです。北野武さんの作品も非常に好きで、特に『その男、凶暴につき』と『BROTHER』が好きです。

来日の楽しみ

コロナ危機が始まる直前の1月に日本に旅行するという素晴らしい機会がありました。日本に行くのは2回目でした。
1回目は数年前。今回はボーイフレンドのバンドと一緒に彼らのツアーに参加したんです。
東京や京都以外にも山口などの場所を知る機会がありました。彼らが演奏した会場から提供された伝統的な家に4日間滞在しました。そこでは、日本の魅力的な文化をより身近に感じることができました。
私は「尊敬」と「沈黙」の日本文化が大好きです。私は日本の文化が大好きで、二度行っても心が新たになった気がします。また、日本のファッションのセンスの良さにも驚かされます。食べ物は本当に印象的です。焼き鳥、ラーメン、寿司を食べるのが大好きです。
私には長年日本に住んでいるチリ人の友人がいるので、彼女が典型的な観光スポット以外の場所を教えてくれました。例えば、古着を買ったり、九谷焼を手に入れたり。できれば毎年日本へ行きたいです。

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■公開情報
『エマ、愛の罠』
10月2日(金) より、シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町、kino cinema立川高島屋S.C.館ほか全国公開
監督:パブロ・ラライン 
出演:マリアーナ・ディ・ジローラモ、ガエル・ガルシア・ベルナル、パオラ・ジャンニーニ、サンティアゴ・カブレラ、クリスティアン・スアレス
配給:シンカ
提供:シンカ/ハピネット
後援:チリ大使館/インスティトゥト・セルバンテス東京
2019年/チリ/スペイン語/107分/カラー/シネスコ/5.1ch/原題:Ema/ R15+
(c)Fabula, Santiago de Chile, 2019
公式サイト:http://synca.jp/ema

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