『麒麟がくる』信長と義昭は水と油のような存在? 滝藤賢一が「この手、離さぬぞ」と懇願

『麒麟がくる』信長と義昭は水と油の存在?

 これほど信長に心酔する義昭だが、信長の考え方が義昭と一致するとは考え難い。自らも仏門に身を置いていた故、信心深く慈愛に満ちた義昭と、「うつけ」と呼ばれながらも個性を光らせ自らの力で身を立ててきた信長は、水と油のようにも見える。事実、信長は義昭のための城作りの材料に、石仏を砕いて混ぜろと命じていた。光秀は複雑な顔をしていたが、信長は幼い頃のエピソードを交え、笑顔で「仏のバチなどない」とペチペチと石仏の顔を叩いてみせた。そこに現れた義昭は、一連のくだりを知らぬまま、子供のように信長の手を握りしめると「もう岐阜へなど戻ってはくれるな! この手、離さぬぞ」と懇願する。義昭の美しい心は、厳しい戦国の世には似つかわしくないと印象付ける、残酷な描写となった。

 どれだけ義昭が理想の世を願っても、力を持たなければまたどこかから謀反が起きる。今は信長の力で理想の世に向けて歩み出せていると思っているようだが、いつまで“おだやか”でいることができるかは定かではない。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
大河ドラマ『麒麟がくる』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送
BSプレミアムにて、毎週日曜18:00〜放送
BS4Kにて、毎週日曜9:00〜放送
主演:長谷川博己
作:池端俊策
語り:市川海老蔵
音楽:ジョン・グラム
制作統括:落合将、藤並英樹
プロデューサー:中野亮平
演出:大原拓、一色隆司、佐々木善春、深川貴志
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/kirin/
公式Twitter:@nhk_kirin

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