良くいえば奇跡、悪くいえば珍事!? ノーランのアクション映画への愛が『TENET テネット』で爆発
……と、書いてみたが、最初に断ったように、これはあくまで私の一方通行なピロートーク。こうして語りたくなるのがノーラン映画である。いろいろな魅力があるが、それをどこまで考えているのか、何も考えていないのかも分からないし、その本質は掴めそうで掴めない。複雑に見えて単純、単純に見えて複雑。この感じが確かにノーランだ。そして、こんな奇妙な映画に、こんな金が突っ込まれているのは客観的に見てすごいことだ。この映画は良くいえば奇跡、悪くいえば珍事であり、劇場で目撃する価値がある。
ノーランはいつだって好きなことを好き放題やって、観客の理解や感想すら置いてけぼりにする(その置いてけぼり感が魅力になっているのだからズルい)。ともかく、こんなに自由な映画は他にない。好き嫌いは絶対に別れるが、本作はクリストファー・ノーランが過去最大級にノーランしている映画であり、ノーランのTENET(信条)が炸裂している作品なのは間違いないだろう。
■加藤よしき
昼間は会社員、夜は映画ライター。「リアルサウンド」「映画秘宝」本誌やムックに寄稿しています。最近、会社に居場所がありません。Twitter
■公開情報
『TENET テネット』
全国公開中
監督・脚本・製作:クリストファー・ノーラン
製作:エマ・トーマス
製作総指揮:トーマス・ハイスリップ
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ディンプル・カパディア、アーロン・テイラー=ジョンソン、クレマンス・ポエジー、マイケル・ケイン、ケネス・ブラナー
配給:ワーナー・ブラザース映画
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公式サイト:http://tenet-movie.jp
公式Twitter:https://twitter.com/TENETJP