『おじカワ』最終回が伝えた“好き”の大切さ 眞島秀和×今井翼が迎えたハッピーエンド

『おじカワ』最終回が伝えた“好き”の大切さ

 「友達なんて、今でも煩わしいと思ってますよ」と口にする鳴戸だが、「じゃあなんで友達を?」と小路に問われると、こう答えた。

「しょうがないじゃないですか。出会っちゃったんですから」

 元妻の言葉、鳴戸の主張、そして漫画家として一歩踏み出そうとする真純の「誰にも見せずに1人で自分だけの作品にしてたら、傷つくことはないのかもしれない。けど、僕は自分の“好き”をもっといろんな人に伝えたいんだ」という思いが小路の背中を押す。

 これまでたった1人で自分の“好き”を愛でてきた小路は、誰かと一緒に“好き”を楽しむことを教えてくれたケンタに直接会いに行く。小路と対面したケンタは、小路が“元妻”について話してくれなかったことがショックだったと打ち明けた。「小路さんに嫌われたくなくて」と落ち込むケンタに、小路は言った。

「嫌ったりしない! 俺はケンタ君が“好き”だから!」
「ずっと1人の世界にいた俺に、ケンタ君は誰かと一緒に“好き”を楽しむことを教えてくれた。俺の大切な友達を、そんな風に悪く言わないでくれ」

 小路はこれまで、誰かと“好き”を共有できることを夢見ながら日々ストイックに生活してきた。そんな彼はケンタと握手を交わし、満面の笑顔を見せる。その明るい笑顔は、誰かと一緒に“好き”を分かち合う喜びに満ちていた。

 眞島演じる小路が“好き”を伝えるまでの細やかな演技も魅力的だが、SNS上では大好きなパグ太郎を目の前にした小路の反応が話題になっていた。

 パグ太郎が目の前に現れたとき、小路は膝から崩れ落ちる。ケンタとパグ太郎の話をしているときの小路は饒舌なのだが、握手する機会を得られた小路は言葉を失い、握手もどこかたどたどしい。心の底では嬉しくてたまらないはずなのに体は強張り、せっかくの記念写真も表情が硬い。

 しかし小路やケンタ、鳴戸や真純のように、自分の“好き”を大事にしている人は共感したはずだ。うまく喋れなくなったり、握手を粘ろうとしたり、握手を交わした後に放心してしまう眞島の演技に、「推しと握手したあとこうなる」「実際に推しを目の前にしたら語彙力が一瞬で消えて『これからも……応援してます……』としか言えないよね……!」と共感の声があがっていた。

 本作からは“好きなモノは(人に言っても言わなくても)好きなままでいい!”というメッセージがひしひしと伝わってきた。そして、好きなモノがある人生の豊かさと、時に他人とのつながりがそれをより豊かにしてくれることを教えてくれる物語だった。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
プラチナイト 木曜ドラマF『おじさんはカワイイものがお好き。』
読売テレビ・日本テレビ系にて、木曜23:59〜0:54放送
原作: ツトム『おじさんはカワイイものがお好き。』(『COMICポラリス』連載中 既刊1~4巻(フレックスコミックス刊))
出演:眞島秀和、今井翼、桐山漣、藤原大祐、富田望生、愛加あゆ、水間ロン、佐藤正和
脚本:坪田文
監督:熊坂出
音楽:眞鍋昭大
チーフプロデューサー:前西和成(読売テレビ)
プロデューサー:小島祥子(読売テレビ)、熊谷理恵(大映テレビ)
制作プロダクション:大映テレビ
制作協力:大映テレビ
制作著作:読売テレビ
(c)読売テレビ
公式サイト:https://www.ytv.co.jp/ojikawa/

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