『私たちはどうかしている』謎が謎を呼ぶ中盤戦 横浜流星の本当の父親は誰?
そしてここまできて初めて、今日子に生身の人間らしい感情が垣間見えた瞬間があった。椿の元婚約者である栞(岸井ゆきの)に、これ以上椿を追うのはおよしなさいと諭す場面だ。椿と七桜の仲を引き裂くために手段を選ばなかった今日子のことに、これまで通りであればきっと栞の好意を逆手にとって利用しようとしたに違いない。それなのに 「一途に誰かのことを想っている人を好きになるのは茨の道よ。いつまで経っても」とこぼす今日子の言葉は、かつての自身の経験から発せられた言葉なのだろう、やけに生々しく響く。夫・樹の心がどうやっても七桜の母親・百合子(中村ゆり)から離れることがなかったように。
自身から夫を奪った女の娘が、今度は自分の血の繋がった息子の心まで奪おうとしている。皮肉なものだ。いつだって椿が勝負に勝つようにとライバルの邪魔をしては「私が邪魔したから椿さんだって勝てたんじゃない」と話す今日子に、「あなたはかわいそうな人だ」と椿は返していた。
今日子も今日子で、椿には光月庵の人間の血が流れていないことを最もよくわかっているからこそ、不安で、あるいは自分の罪を攻める気持ちから、目の前の椿自身の才能や努力、ひたむきな姿に目を向けることができなくなっていたのかもしれない。あまりに悲しく不幸な母子関係だ。
次回予告では遂に椿に七桜の正体が知られてしまう。強く惹かれ合う2人の因縁関係はどう転がっていくのか、ハラハラしながら見守りたい。
■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter
■放送情報
『私たちはどうかしている』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:浜辺美波、横浜流星、高杉真宙、岸井ゆきの、和田聰宏、岡部たかし、前原滉、草野大成、山崎育三郎、須藤理彩、中村ゆり、鈴木伸之、佐野史郎、観月ありさ
原作:安藤なつみ『私たちはどうかしている』(講談社『BE・LOVE』連載)
脚本:衛藤凛
演出:小室直子、猪股隆一
音楽:出羽良彰
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:鈴間広枝、松山雅則(トータルメディアコミュニケーション)
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
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