『未満警察』は中島健人×平野紫耀の代表作に ラストシーンに感じる、2人ならではの爽やかさ

『未満警察』ラストシーンの爽やかさ

 第6話で警察学校内に立てこもった姉弟に、彼らの父親の人生と母親の命を奪った“スコップ男”の正体を解明することを約束した快(中島健人)と次郎(平野紫耀)。前回の第9話では、その正体が警察学校の教官である片野坂(伊勢谷友介)であったという衝撃的な事実が明らかに。そして9月5日に放送された『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)最終話は、なぜ片野坂が“スコップ男”になったのか、その哀しい真実が語られるエピソードとなった。

 冬美(大幡しえり)が持っていた携帯電話に保存されていた、“スコップ男”の犯行の瞬間を映した動画に、ほかにも重要なことが映っていたことに気付いた快と次郎。その真実にたどり着くため、そして片野坂の心の中を知るため、2人は同期のメンバーや助教の及川(吉瀬美智子)とともに事件の模擬捜査を再開する。それぞれが手分けをして3件の事件の被害者と片野坂との接点などについて調べ上げ、やがて快は持ち前のプロファイリング力を駆使してひとつの“ストーリー”を見出す。そして片野坂を教室に呼び出し、模擬捜査の成果を発表するのである。

 前回の放送後に「片野坂の娘が最初の事件に絡んでいる」との仮説を立てたが、ある意味では予想通りで、またある意味では予想外な展開だったといえよう。片野坂の娘が同級生からのいじめがきっかけで自殺をし、妹が復讐のためにその同級生を殺害。事件を目撃した2件目の被害者は片野坂の妻と揉み合いの末に事故死し、片野坂は家族を守るために両方の事件を迷宮入りさせようとする。しかしそれに気付いた同僚刑事が片野坂をゆすり、3件目の事件を自らの手で起こした片野坂。国枝(木下ほうか)にすべてを告白するが、組織ぐるみで隠蔽され、天満(佐戸井けん太)が無実の罪で逮捕されるというのが、一連の流れだ。1件目の犯人であり片野坂の娘こそ、自分の父親が警察官だと語っていた冬美だったという点は、これまでヒントになりうるものがあまりにも少なく読みづらかった部分だ。

 さて、これまで犯人との格闘で幾度となく割られてきた快のメガネは今回、教官として以上に、プロファイラーの師として強く信頼していた相手である片野坂に割られてしまう。これは快が自身のプロファイル力によって事件の“ストーリー”を見つけだしたということ以上に、師弟関係の決別を表しているように思える。そうしたある種の成長という変化を余儀なくされた快とは対照的に、片野坂に対してどんな気持ちで天満の家族の前に出たのかと問う次郎の、相変わらずこの上なくまっすぐで人情味に溢れた姿。警察学校のグラウンドで転びながらも手を取り合って走る2人の爽やかなラストシーンで幕を閉じたこの物語ではあるが、かえって彼らが“警察未満”から真の警察官になる姿を見たいという気持ちにさせられたことは言うまでもないだろう。

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