田中圭演じる瀬野の吐血でほっこりエンド続かず 『アンサング・シンデレラ』まさかのホラー展開に

『アンサング・シンデレラ』ホラー展開に?

 笹の葉薬局で在宅医療の研修をすることになったみどり(石原さとみ)は、職場の先輩薬剤師・荒神寛治(でんでん)の妻・泰子(大塚良重)を診ることになる。全ては、終末期がん患者の妻を抱える荒神を思いやった販田部長(真矢ミキ)の、機転の効いた計らいだった。『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系、以下『アンサング・シンデレラ』)の第8話では、終末医療に向き合う薬剤師の心中が描かれた。

 どの判断が正しいのか、患者の家族にも医療従事者にも、命の終え方の正解はわからない。しかし、最後まで患者と向き合うこと、患者の家族と向き合うことで新たな価値観に気がつき、「正解」に辿りつかずとも「最善」を尽くせるようになるのではないだろうか。みどりと小野塚(成田凌)が患者と向き合う背中からは、そんな力強いメッセージが感じられた。

 一方、荒神とみどりが不在で人手不足に拍車がかかる萬津総合病院薬剤部は、瀬野(田中圭)が救急と調剤室を掛け持ちすることでなんとか業務をこなしていた。今まで救急の担当だった瀬野が調剤室に入ることで、薬剤部の空気はガラリと変わり、ベテランの刈谷(桜井ユキ)でさえ「手を動かす!」と一喝される。瀬野はさらにまだ仕事に不慣れなくるみ(西野七瀬)を真摯にサポートし、かつてみどりを育てたときのように熱心に指導に当たる。

 『あなたの番です』(日本テレビ系)コンビでもある田中圭と西野七瀬は今回も息のあった芝居を見せた。『あな番』では田中演じる手塚翔太と共に事件解決に奔走する黒島沙和を演じていた西野だが、『あなたの番です-反撃編-』では一転、ラストのどんでん返しで連続殺人事件の黒幕として、優しさの塊のような翔太を裏切ることになる。

 当時、屈託のない笑顔を向ける素直な翔太と、どこか影のある大学生の黒島はまるで太陽と月のように対照的なキャラクターであった。今回、『アンサング・シンデレラ』ではクールだが熱心に指導に当たる瀬野と不慣れながらも目の前のことに一生懸命なくるみは、両者共に薬剤師の仕事に熱い志を持つ太陽のような存在だろう。くるみにとって瀬野が「頼りになる先輩」なのは、そのキラキラした表情からも手にとるようにわかる。

 第6話では「葵さんにだけじゃなくて、たまには私にもなんかいい感じのこと言ってくださいよ」などとリクエストされた瀬野が困惑するなど、くるみの無邪気さにたじたじの様子も見せ、田中と西野だからこそ作れる空気感が活きるシーンとなった。このシーン以外にも、瀬野とくるみのシーンは田中の優しさがだだ漏れているシーンが度々あり、くるみに対して「一人前になってほしい」と強く思っていることがわかる。

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