西野七瀬、 “ナチュラルな姿”を持ち味に 患者の後日談を描く『アンサング・シンデレラ』の仕掛け

西野七瀬、 “ナチュラルな姿”を持ち味に

 “患者さんのため”。この言葉には様々な角度からのアプローチがあり、実際に医療の現場に着く人間にとって、自分のスタンスを確立するまでに最も苦悩する点となるだろう。『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)の第2話では、みどり(石原さとみ)と刈谷(桜井ユキ)が患者との向き合い方で衝突するシーンが描かれる。さらに病院薬剤師のあまり知られていない業務についてもフォーカスされ、その仕事内容がより明確に伝わる回となった。

 ある日、病院に厚生労働省のマトリこと麻薬取締官が、医療麻薬の管理調査のために抜き打ちで来院する。急な訪問に販田(真矢ミキ)ら薬剤師は大慌て。麻薬指定されている薬の数を数えるも、注射液の数が合わず薬剤部はさらにパニックになってしまった。

 そこでくるみ(西野七瀬)は数の足りないフェンタニルを最後に使った本村医師のもとを訪ね、使われずに残っていた薬を取り戻すように指示を受ける。慣れない作業に困惑しながらも、くるみはどうにかフェンタニルを販田のもとに届けることができた。新人薬剤師でみどりのもとで指導を受けているくるみだが、その姿からは日々成長している様子が窺える。初めは動きにくいブーツで勤務していたものをスニーカーに履き替えて、みどりや刈谷の様子をしっかり観察し、病院薬剤師としての仕事を覚えようと努力していた。

 くるみ役の西野は、そんな新人薬剤師をナチュラルに演じる。一見、ドライにも見えるくるみだが、業務に対しては真摯に取り組んでいる。ロジカルな薬剤師たちの中で、感情的になることもなく淡々と働くくるみは、まさに薬剤師に適したタイプにも感じられる。

 そんなくるみのキャラクターは、ふり幅の少なさから、演じるのが難しい役といえるだろう。無気力ではないが、かといってやる気に満ち溢れているわけでもない。愛嬌があるほうではないが、クールでもない。そんな風に均等なバランスを保つ役は、捉え所がなく非常に演じにくい。西野はそんな役を、くるみの日々の小さな成長を感じさせるほど器用に演じるのであった。

 過去には『あなたの番です』(日本テレビ系)で重要な犯人役を任されたこともあり、西野の持つポテンシャルの高さには、今や多くの人が気づいているのではないだろうか。ステレオタイプな若い明るいヒロイン像から一歩脱したところに立つ西野は、大きな強みを手に入れたと言っても過言ではない。西野の “ナチュラルな姿”を持ち味にした役は今後も多くの作品で望まれると思われる。

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