本広克行×小川紗良『ビューティフルドリーマー』11月公開へ 映画レーベル「シネマラボ」第1弾

シネマラボ第1弾に本広克行×小川紗良

 本広克行監督の2年半ぶりの実写映画『ビューティフルドリーマー』が、11月6日に公開されることが決定した。

 本作は、本広監督、押井守監督、小中和哉監督、上田慎一郎監督が参加する映画実験レーベル「Cinema Lab(シネマラボ)」の第1弾作品。「Cinema Lab」は、参加監督たちが日本映画界に多大な影響を与えた日本アート・シアター・ギルド(通称:ATG)に着想を得て発起した、監督の作家性を最大限に活かす「監督絶対主義」で映画を制作する映画の実験レーベル。映画化の条件は「限られた制作予算」のみ。映画は、制作過程となる企画開発、脚本、キャスティング、ロケーション、演出などすべてのクリエイティブは監督が自由に手がける。

 参加監督の1人である小中監督は、「大型商業映画を撮ってきた押井、本広両監督は、初心に戻って個人の想いに忠実な自主映画のような作品を作ろうという気持ちがあるでしょうし、自主映画から商業映画へ活躍の場を広げた上田監督にとっては、自主映画の自由さを失わずに商業映画が撮れる場としての魅力を感じての参加だと思うのです。つまり、『監督が自由に映画に情熱を注ぐ魂』と『商業映画』の幸福な融合ができればと考えています」とコメントを寄せている。

 第1弾となる『ビューティフルドリーマー』は、「映画研究会」を舞台にした青春ドラマ。映画を撮ったことのない先勝美術大学映画研究会の部員たちが、“いわくつきの台本”の映画化に挑んでいく。本作は新たな試みとして、完全な脚本を用いず、おおよその筋だけを立て、現場で俳優や監督が口頭の打ち合わせで芝居をまとめる“口立て”を用いた手法で演出がされている。また、押井監督が手がけた『夢見る人』を原案としている。

(上段左より)小川紗良、藤谷理子、神尾楓珠、内田倭史、ヒロシエリ  (下段左より)森田甘路、斎藤工、秋元才加、瀧川英次、升毅

 監督としてメンバーをリードする主人公・サラ役で主演を務めるのは、NHK連続テレビ小説『まんぷく』などの女優業のほか、監督としても活躍する小川紗良。カメラ担当でサラを支えるカミオ役で『HiGH&LOW THE WORST』『私がもててどうすんだ』の神尾楓珠、助監督兼雑用係として奮闘する映研のムードメイカー、モリタ役で劇団ナイロン100℃所属で『カツベン!』などの森田甘路、プロデューサーのリコ役で『あさひなぐ』『ドロステのはてに僕ら』の藤谷理子、メイク担当のシエリ役で札幌の劇団イレブンナイン出身のヒロシエリ、録音担当のウチダ役で本作が映画デビュー作となる劇団スポーツの主宰の内田倭史が出演。そのほか、斎藤工、秋元才加、瀧川英次、升毅らがキャストに名を連ねた。

 情報発表にあわせて、本広監督と主演の小川からはコメントも寄せられている。

本広克行監督

シネマラボというレーベルは、当初小中監督から「現代のATG」を作らないかという提案から始まりました。ラボ=実験。予算に制限がありながらも監督の作家性を最優先し、後世に残る作品を生み出す事を目的としたレーベルです。映画はオールドメディアであり、長い間その形を変えていません。それをどのような形で進化させるのかをいつも考えています。興行的には、厳しいかもしれません。でも、やらないと後世に残る映画は作れない。作家性のある作品が少なくなっている今、次世代の若者のクリエイターたちが撮りたいものを撮れる場を作れないか、というのをずっと思っていました。その土台に、押井監督、小中監督、上田監督をはじめ私達がなれればいいと思っています。
その第1弾となったのが、『ビューティフルドリーマー』です。ずっと押井守監督と組んで実写を撮ってみたいと思っていました。今回の為に押井監督には「夢みる人」という原案となる本を書いてもらいました。当初は登場人物が軽音楽部だったのですが、それを私なりにアレンジして映画研究会にし、主演を小川紗良さんに演じてもらいました。小川さんは実際に大学で映画研究会に入って作品を作っていて、自然と出る演出する言葉を知っているのと、信じた事に周りを巻き込んで猛進して行きそうな強い眼差しが今回の主演に絶対に必要な人でした。全ての映像作品を作っていてずっと思っていた事があります。今や当たり前のように作品の中だけで交わされる省略された無駄のない台詞を、演者から出るリアルな話し言葉を使って作品を作れないか。今では機材の性能が上がっていて、昔は録音できなかった台詞も今だからできる方法があります。急に違う作り方をすると観ている人は拒否反応がある事を知っていながらも、このシネマラボで自分なりの「実験」として、エチュードという形で映画の中の台詞をリアルに演出させてもらいました。是非この不思議な映画を、多くの人に色々な感情で楽しんでもらえればと思います。

小川紗良

大学時代、サークルで映画を撮っていた私にとっては、あの頃を追体験するような日々でした。映画サークルって、色々な珍事件が起きるんですよ。データが飛んだり、お金が尽きたり、機材が壊れたり、しょうもないことで喧嘩したり、色恋沙汰がもつれたり。それでも映画を撮りたい気持ちは突っ走って、かぐや姫もドン引きな無理難題を言ってみたり。部室には余計なものがいっぱいあって、3留くらいしてる先輩が昼寝してる。“伝説のOB”はいつまでもサークルにはびこって、ああだこうだと言ってくる。本当に、映画サークルって変。
それでも、サークル活動や映画撮影の在り方が変わり果ててしまった今となっては、あの変な日々も懐かしく思えたり。2020年、思いがけずこの映画は「癒し」になるかもしれません。
人と人との距離の近さが生む珍事件たちに、ぜひ心をふっと緩ませてみてください。
夢みる人、そしてかつて夢みた人に、届きますように。

■公開情報
『ビューティフルドリーマー』
11月6日(金)テアトル新宿、シネマート新宿ほか全国公開
監督:本広克行
出演:小川紗良、藤谷理子、神尾楓珠、内田倭史、ヒロシエリ、森田甘路、斎藤工、秋元才加、瀧川英次、升毅ほか
監督:本広克行
原案:押井守『夢みる人』
脚本:守口悠介
配給:エイベックス・ピクチャーズ
(c) 2020 映画「ビューティフルドリーマー」製作委員会
公式サイト:https://beautifuldreamer-movie.jp/ 
公式Twitter:cinemalab_jp   
公式Instagram:cinemalab_jp

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