星野源は“代弁者”として周囲に寄り添う 『MIU404』志摩一未として自らを罰し続ける姿

星野源、『MIU404』で“代弁者”に

 伊吹(綾野剛)は言わずもがな、志摩も双方ともに実は「自分が犯人側だった可能性もある」「自分たちが知らず知らずのうちに加害者側に回っていることもあるかもしれない」という立場の互換性を常に自分たちの中に持つことができているからこそ、単に罪を咎めるだけの作品に終わらず、毎話社会問題の提起までに発展し、視聴者の胸に弱者の声にならぬ声を届けてくれているのかもしれない。

 星野本人の最大の魅力は多才でありながら、「天才肌」とはまた違って他を圧倒するというよりも、自身の才能を周囲に寄り添うために用いるところ、ゆえに観るものを突き放したり、放っておいてしまうことなく一緒に進もうとしてくれるところにあるのではないだろうか。だから、人は彼の中に自身の「代弁者」的側面を見つけ救われる。手と手を取り合い一緒に歓喜し、その思いを共有し合い、共に歌って踊りたくなってしまうのではないだろうか。

 そんな星野演じる志摩と伊吹のますます加速するバディ感と、桔梗(麻生久美子)に対する、現時点ではなかなか報われそうにない恋心の行方について、引き続き見守りたい。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
金曜ドラマ『MIU404』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:綾野剛、星野源、岡田健史、橋本じゅん、黒川智花、渡邊圭祐、金井勇太、生瀬勝久、麻生久美子、黒川智花
脚本:野木亜紀子
演出:塚原あゆ子、竹村謙太郎、加藤尚樹
プロデュース:新井順子
音楽:得田真裕
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

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